ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノーマンド」の意味・わかりやすい解説
ノーマンド
Normand, Mabel
[没]1930.2.23. カリフォルニア,モンロビア
アメリカ合衆国の映画女優。フルネーム Mabel Ethelreid Normand。サイレント映画時代を代表する喜劇女優の一人。学校教育をはじめ,幼少期の経歴はほとんど不明。15歳頃から画家のモデルとなる。1910年ニューヨークの映画撮影スタジオ,バイオグラフでエキストラの仕事を始め,のちの人生で公私ともにきわめて重要な存在となる映画監督のマック・セネットと出会う。1912年セネットがカリフォルニアに設立したキーストンに移籍。美女でありながらしりもちもつける,新しいタイプのキャラクターを開拓した。ゆるぎないスター女優の座にあった 1913年後半,チャーリー・チャップリンがキーストンに加入。チャップリンとは 11本の作品で共演し,のちに数本の映画を共同監督している。1917年ゴールドウィン・ピクチャーズに移籍したが,コカインとアルコールの乱用で 1920年に解雇され,再びセネットのもとへ戻った。1922年,親しい友人で映画監督のウィリアム・デズモンド・テーラーが殺害される事件が発生。これを機にノーマンドの女優としてのキャリアは下り坂に向かう。潔白だったにもかかわらず,センセーショナルな報道に感化された市民の間にノーマンドの作品の検閲を求める声が上がった。1924年,今度はノーマンドの運転手が彼女の友人を銃撃する事件が起こり,この 2度目のスキャンダルにより女優生命は終わりを告げた。
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