ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハドリアヌス5世」の意味・わかりやすい解説
ハドリアヌス5世
ハドリアヌスごせい
Hadrianus V
[没]1276.8.18. ビテルボ
ジェノバ出身の第186代教皇(在位 1276.7.~8.)。本名 Ottobono Fieschi。おじである第180代教皇インノケンチウス4世(在位 1243~54)により枢機卿(→カーディナル)に任命された。1265~68年,イギリスへ教皇大使として派遣され,イングランド王ヘンリー3世(在位 1216~72)と貴族たちとの間に友好関係を築く役割を担った。教皇インノケンチウス5世(在位 1276.1.~6.)の後継者として 1276年7月に教皇に選出された。死去までの 1ヵ月あまりの在位中に,グレゴリウス10世(在位 1271~76)が定めた厳格なコンクラーベの規定を廃止した。生前は司祭としての叙階も聖別もされなかった。ダンテは『神曲』の「煉獄編」(第19歌 97~126)で,ハドリアヌス5世が自分の強欲に気づき,後悔する様子を描いている。
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