ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘンリー3世」の意味・わかりやすい解説
ヘンリー3世
ヘンリーさんせい
Henry III
[没]1272.11.16. ロンドン
イギリス,プランタジネット朝のイングランド王 (在位 1216~72) 。ジョン王の長男,母はアングレーム伯家のイザベラ,王妃はプロバンス伯家のエリナー。9歳で即位し,ウィリアム・マーシャル (ペンブルック〈伯〉) らの廷臣の補佐を得たが,20歳で親政。母や王妃の関係で,フランス人を宮廷で重用し,またローマ教皇に従属の姿勢をとったので,イングランド貴族の反感を招いた。特に次男エドマンドをシチリア王位につける策謀や,フランスで失った領地の回復を目指す派兵のために要した多額の増税と献納金が貴族,聖職者の不満をつのらせた。オックスフォード協約 (58) などの譲歩を示したが,シモン・ド・モンフォールを中心とする貴族たちにより,バロン戦争が起り,勝利はしたものの政治の実権を失った。なお,その治世中に各州,各都市の代表2名を集めて開かれた大議会 (65) は,モンフォールらが民心を得るために招集したものであるが,のちのイギリス下院の起源となった。
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