ハマダイ(読み)はまだい(その他表記)flame snapper

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハマダイ」の意味・わかりやすい解説

ハマダイ
はまだい / 浜鯛
flame snapper
[学] Etelis coruscans

硬骨魚綱スズキ目フエダイ科に属する海水魚。茨城県以南の太平洋沿岸、小笠原(おがさわら)諸島、南西諸島、硫黄島(いおうとう)、大東島など西太平洋からインド洋海域に分布する。体は細長い紡錘形。尾柄(びへい)部は太くて長い。目は大きく、吻(ふん)長に等しい。両眼間隔域は平坦(へいたん)。両顎(りょうがく)前部に1、2対の犬歯があり、側部には三十数本の微小な円錐歯(えんすいし)がある。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)の歯帯の幅は広い。鰓弓(さいきゅう)上枝の鰓耙(さいは)は6~9本。背びれ棘(きょく)部と軟条部の間が深く切れ込む。背びれと臀(しり)びれの最後の軟条は伸長する。尾びれは深く二叉(にさ)し、上下両葉は長いが、とくに上葉は成長とともに糸状に伸長し、その長さは体長の30~80%になる。最大全長は約100センチメートルになる。体は背側面では桃色を帯びた美しい赤色、腹側面では桃白色。各ひれは赤い。90~400メートルの深海の岩礁域に生息する。おもに魚類、イカ類、甲殻類などを食べる。深海延縄(はえなわ)、一本釣りなどで漁獲される。肉は淡紅色を帯びた白色で美味。刺身吸い物塩焼き煮物として賞味される。南西諸島では漁獲も多く、水産上重要な高級魚である。同属ハチジョウアカムツおよびオオクチハマダイE. radiosusに似るが、前者は鰓弓上枝に3~4本、後者は11~14本の鰓耙をもつことで区別できる。

[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年4月18日]


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改訂新版 世界大百科事典 「ハマダイ」の意味・わかりやすい解説

ハマダイ (浜鯛)
Etelis carbunculus

スズキ目フエダイ科の海産魚。タイとはつくが,タイの仲間ではない。分布が広く,本州中部以南,沖縄,フィリピン,ハワイ,東アフリカ,モーリシャス,セーシェルなどの沿岸の200m以深とかなり深いところにすむ。一本釣り,あるいは立縄で漁獲。体全体が赤みを帯びるが,背部は紅色が強く,腹部は銀白色に近くなる。ひれと口の中も紅色。アカチビキ(田辺),アカマチ(沖縄)の呼名がある。英名はruby snapper。尾びれは深く切れ込み,上下両葉が長いので,オナガ(東京,八丈)と呼ばれる。全長1mに達する。白身で美味。刺身,塩焼き,わん種にする。沖縄や鹿児島では東京などのマダイのように賞味する。近似種にハチジョウアカムツE.marshiがある。ハマダイと似ているが,尾びれの下葉先端が白いので区別される。中部太平洋から西インド洋まで分布する。ハマダイと混獲される高級食用魚。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハマダイ」の意味・わかりやすい解説

ハマダイ
Etelis coruscans

スズキ目フエダイ科の海水魚。全長 1m内外。体は延長した紡錘形で丸みを帯び,尾鰭の上・下葉が糸状に伸びている。上顎の前部に 1~2対の犬歯をもつ。体は鮮紅色で,腹方は淡い。高級食用魚。南日本の太平洋岸,インド・太平洋に分布する。

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