日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハルゼミ」の意味・わかりやすい解説
ハルゼミ
はるぜみ / 春蝉
[学] Terpnosia vacua
昆虫綱半翅目(はんしもく)同翅亜目セミ科Cicadidaeの昆虫。体長22~30ミリメートルのやや小形のセミで、雄では体全体が黒色、雌には多くの褐色紋がある。はねは透明。雌の産卵管は腹端を越えて伸長する。雄の腹部は大きく樽(たる)状で、中は空洞である。本州、四国、九州に分布し、国外では中国から知られる。日本本土ではもっとも早く出現するセミで、その名のとおり春季つまり5、6月に現れる。マツ林に限ってすみ、雄は横枝上に止まってムゼームゼー……と鳴く。合唱性があり、仲間の声だけでなく、飛行機やオートバイなどの音で合唱を始めることがしばしばある。近縁種にエゾハルゼミT. nigricostaが知られる。
[林 正美]