ハンメル図法(読み)はんめるずほう(英語表記)Hammer's projections

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンメル図法」の意味・わかりやすい解説

ハンメル図法
はんめるずほう
Hammer's projections

地図投影の一種ドイツのハンメルErnst von Hammer(1858―1925)による4種の図法の総称。ハンマー図法ともいう。1892年に彼がエイトフ図法を紹介したなかで、横軸正積方位図法にエイトフ変換を行って世界全図の図法とする応用例を述べた。一般にはこの図法をハンメル図法またはハンメル‐エイトフ図法という。ヒンクスArthur Robert Hinks(1873―1945)が『地図投影』Map Projections(1912年初版)でこの図法をエイトフ図法と紹介したことから、英語圏と日本語圏の世界地図帳ではこの誤りが20世紀中ごろまで訂正されなかった。ほかの3種は、1887年発表の、視点の位置をほぼ正積となるように選んだ外射図法と、正積円錐図法(せいせきえんすいずほう)の特別なもの、ならびに1910年発表の、地図上の任意の点から一定点への方向線の方向と距離が正距となる正距逆方位図法である。

[金澤 敬]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハンメル図法」の意味・わかりやすい解説

ハンメル図法
ハンメルずほう
Hammer's projections

ドイツの地理学者 E.ハンメル(1858~1925)が考案した 4種の地図投影法の総称で,狭義には,1892年にエイトフ図法の紹介を行なった際にその応用例として発表したものをさし,ハンメル=エイトフ図法とも呼ばれる。これは横軸正積方位図法にエイトフ変換を行なった正積擬方位図法である。英語圏では 1912年に A.R.ヒンクスがその著書のなかで,エイトフ図法として紹介していたため,最近まで混同されていた。他の三つは次のとおり。(1) 正積方位図法にほぼ一致するもので,視点が地球半径の 1+√2≒2.4142倍の位置にある外射図法(1887考案)。(2) 正積円錐図法の特別な場合に相当(1887考案)。(3) 正距逆方位図法。地図上の一定点に対して,任意の点からの方向線の方角と距離は正しく表されるが,その定点からの方角は必ずしも正しく表されない図法(1910考案)。

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