ランベルト(読み)らんべると(英語表記)Johann Lambert

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランベルト」の意味・わかりやすい解説

ランベルト
らんべると
Johann Lambert
(1728―1777)

ドイツの哲学者数学者家業の仕立屋を12歳のときから手伝う。15歳から、働きながら哲学、科学を独学し、1748年スイスで名家の家庭教師となり、その家の図書を利用して研究を行う。1756~1758年オランダおよびフランスを訪れる。その後、科学者としての職を求めてドイツ各地を訪れ、著作を出版、1765年ベルリン・アカデミー会員となる。生涯に200近い研究論文と16の著書を発表した。それらは多くの分野にわたり、当代一流の博学者と目された。哲学の研究では、ライプニッツの影響下に、科学知識が数学と同等の精確さをもつための条件を探究した。主著は1764年の『新機関』である。物理学を数学と同等の精確なものにするために、測光学、湿度測定、高温測定の分野で貢献した。『測光学』(1760)では光度のコサイン則(ランベルト法則)を発表している。『湿度測定』(1774)では湿度計の理論を述べ、『高温測定』(1779)では放射反射について論じるなど多くの実験物理学的成果をあげている。天文学では、彗星(すいせい)の軌道天体力学ほか、1761年に出版された『宇宙論書簡』において、銀河形状階層構造についての仮説を提示したことで知られる。

 数学においては、円周率と自然対数が無理数であることを連分数を用いて証明したほか、画法幾何学、等角写像など地図投影および双曲線関数の導入、非ユークリッド幾何学の先駆的仕事もしている。

[高田紀代志]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランベルト」の意味・わかりやすい解説

ランベルト
Lambert, Johann Heinrich

[生]1728.8.26. ミュルハウゼン
[没]1777.9.25. ベルリン
ドイツの哲学者,物理学者,天文学者,数学者。カントと文通し,カントの認識論,宇宙論の先行者として評価される。地図学 (→ランベルト図法 ) ,物理学,天文学,幾何学の領域でも先駆的業績を残した。主著『新オルガノン』 Neues Organon (1764) 。

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