バインケルスフーク(その他表記)Bynkershoek, Cornelis van

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バインケルスフーク」の意味・わかりやすい解説

バインケルスフーク
Bynkershoek, Cornelis van

[生]1673.5.29. ミッデルブルフ
[没]1743.4.16. ハーグ
オランダの法律家。ライデン大学卒業後,弁護士,裁判官として活躍,1721年ホラント・ゼーラント・西フリージア最高裁判所長官となった。 A.ゲンチリスや R.ズーチの志向した実証主義を発展させ,条約および国家慣行に現れた慣習を国際法の最も重要な法源として国際法を説き,G.F.マルテンス,J.モーザーとともに 18世紀における国際法の実定法学派の巨頭とみなされる。彼は国際法に関する体系的な書物は書かなかったが,具体的問題,特に海洋主権,大使の地位,戦時の私権中立戦時禁制品,封鎖などに関するきわめて精密な研究を行なった。また領海の範囲を「陸地の権力は兵器の尽きるところに尽きる」と説いて,領海3カイリ説の先駆となった。主著『海洋所有権論』 De dominio maris dissertatio (1702) ,『公法の諸問題,全2巻』 Quaestionum juris publici,libri duo (37) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「バインケルスフーク」の意味・わかりやすい解説

バインケルスフーク
Cornelius van Bynkershoek
生没年:1673-1743

オランダの国際法学者。18世紀前半の代表的な国際法学者であると同時に,長くハーグの最高裁判所長官を務めたオランダ屈指の法律家でもあった。彼の国際法理論は,グロティウスをその基礎として継承するが,国際慣行と条約を重視して具体的な問題を分析する徹底して実証主義的なものであった。主著の一つ《海洋主権論》(1702)では,領海の範囲についていわゆる着弾距離説を初めて提唱した。すなわち,領海は陸地からの支配の及ぶ所までであるとし,大砲弾丸の届くまでの距離を領海の限界とした。これは,その後の学者によって領海3カイリ説として継承された。そのほか,中立法規外交使節階級不可侵権などについても詳細に論じて,後世に影響を与えた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

367日誕生日大事典 「バインケルスフーク」の解説

バインケルスフーク

生年月日:1673年5月29日
オランダの法律家
1743年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のバインケルスフークの言及

【領海】より

… 領海の幅に関しては,各国の漁業や軍事上の利害が対立して,長い間不統一であった。18世紀の初めオランダのバインケルスフークが沿岸からの大砲の着弾距離をもって領海の範囲とする説(着弾距離説)を唱えた。18世紀末には,当時大砲の射程距離の極限値と考えられていた3カイリを領海の幅とすることが主張された(3カイリ説)。…

※「バインケルスフーク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android