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戦時禁制品 せんじきんせいひんcontraband of war

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

戦時禁制品
せんじきんせいひん
contraband of war

戦時に中立国国民によって交戦国へ供給,輸送されるもののうち,戦争の用に供されるものとして他方の交戦国がその供給を妨げることのできる財貨。戦時においても中立国と交戦国の通商は原則として自由であり,中立国は自国民にこれを禁止することを要しないが,戦時禁制品に関しては輸送途上で捕獲没収されることがある。いかなる財貨を戦時禁制品とするかについては,17世紀以降多くの論議を呼んできたが,1909年ロンドン宣言が調印され,戦時禁制品の制度が明文化された。同宣言では第 22条から 29条にかけて,一切の財貨を禁制品と自由品に分け,さらに禁制品を絶対的禁制品 (武器,弾薬などもっぱら戦争に使用される物品) と相対的 (または条件付き) 禁制品 (糧食,衣類,貨幣,船舶など戦争にも平和的目的にも使用される物品) に分けている。しかし戦争が総力戦化するに及んで,両世界大戦においてはほとんどすべての物品が戦時禁制品に指定された。

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デジタル大辞泉の解説

せんじ‐きんせいひん【戦時禁制品】

戦時中に、中立国国民の交戦国に対する供給を、他方の交戦国が防止できる物品。武器・弾薬などの絶対的禁制品と、食糧・燃料などの相対的または条件付き禁制品とがある。

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百科事典マイペディアの解説

戦時禁制品【せんじきんせいひん】

戦時においても中立国が交戦国に物品の輸送・供給を行うことは原則として禁止されていないが,他方の交戦国は軍用に供する物品を戦時禁制品として公海および交戦国領海上で捕獲できる。

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世界大百科事典 第2版の解説

せんじきんせいひん【戦時禁制品】

戦時における中立国からの供給品で,それが敵国に向けられかつ戦争用に供せられることを理由に,交戦国が海上で捕獲または没収できる物品。中立国国民は交戦国と通商する自由を有するが,戦時禁制品の制度には服さなければならない。この制度は交戦国と中立国の間の主張の妥協を示すもので,1909年ロンドン会議で調印された〈海戦法規に関する宣言〉は,当時の慣行を中心に戦時禁制品についての詳細な規定をおいた。同宣言では,武器弾薬・軍艦等性質上もっぱら戦争用に使用される絶対的禁制品,食糧,貨幣,鉄道材料等性質上戦争用にも平和用にも使用されうるもので,敵国の軍や行政官庁へ仕向けられたことが証明されれば捕獲される条件付禁制品,羊毛,紙,看護用品等性質上戦争に供せられないため禁制品とは認められない自由品の3種類が区別され,列挙された。

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大辞林 第三版の解説

せんじきんせいひん【戦時禁制品】

戦時において、敵国に向けて送られ、敵国の戦争遂行のために使用される物品。交戦国は、交戦区域において、これに該当する中立国の物品を捕獲できる。絶対的禁制品(武器・弾薬など)と相対的禁制品(条件付禁制品)とがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

戦時禁制品
せんじきんせいひん
contraband of war

中立国国民が交戦国に供給するのを、他方の交戦国によって妨げられる物品。戦時において、中立国国民と交戦国間の通商は原則としては自由であるが、戦時禁制品については交戦国軍艦が海上で敵国へのその供給を防止することができる。どのような物品が戦時禁制品となるかは国際慣習法、条約、国内法によって定められる。戦時禁制品は19世紀までしだいに縮小され、それだけ中立通商の自由が実質的に拡大されてきた。1909年、当時の支配的慣行を基礎として妥協の結果、主要海上国10国によって署名されたロンドン宣言は戦時禁制品について詳しい規定を設けたが、武器・弾薬・軍艦などもっぱら戦争に用いられる物品を絶対的禁制品、食糧・貨幣・鉄道材料など和戦両用の物品を相対的禁制品、羊毛・紙などを自由品として列挙している。しかし、第一次、第二次世界大戦では禁制品目が著しく増加し、ほとんどすべての物品に及ぶに至った。[石本泰雄]

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