ミャンマー南西部,イラワジ管区の主都で,ミャンマー第5の都市。人口14万4092(1983)。イラワジ川の西の分流バセイン川の東岸に位置する。河口から120km上流にあるが,大型船舶の航行が可能なため,ヤンゴン,モールメインに次ぐ重要な港となっている。後背地のイラワジ・デルタで生産される米は,ここから海外へ積み出される。町は,パガン朝時代(11~13世紀)にはクシマ,16世紀にはコスミンという名で知られていた。17世紀後半にイギリス東インド会社の駐在事務所が置かれたこともある。1852年の第2次ビルマ戦争後イギリス領となり,74年に市制がしかれた。1902年バセイン~ヘンザダ間の鉄道が開通し,イラワジ川対岸のターヤーウォーを経由して陸路ラングーン(現,ヤンゴン)へ行くことが可能となった。市の経済はもっぱらデルタ産の米の集荷,積出しに依存し,絹を使った手作りの美しい傘や織物,もち米の練製品ハラワーなどの特産品がある。
執筆者:大野 徹
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ミャンマー(ビルマ)南部、イラワディ・デルタ西端にあるエーヤワディ(イラワディ)管区の中心都市。パテインPatheinともよばれる。デルタ地帯最西の分流バセイン川河口から110キロメートルさかのぼった左岸にある。人口21万2600(2003推計)。エーヤワディー川航運の起点で、上流1400キロメートルのバモーまで汽船が遡航(そこう)する。中流域のチーク材、デルタ地帯の米とジュート(黄麻(こうま))は水運によりここに集められ、ここから積み出されるので、ヤンゴン(ラングーン)に次ぐ第二の貿易港である。近代的な精米・製材工業のほか、伝統工業の絹織物、陶磁器、日傘の生産がある。市中心部にあるシュウェモクパウ・パゴダはとくに5月の満月のときに多数の巡礼者が集まる。
[酒井敏明]
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