バリカン(読み)ばりかん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バリカン」の意味・わかりやすい解説

バリカン
ばりかん

毛髪刈り込み用の理容器具で、正しくはヘアクリッパーフランスの製造会社バリカン・エ・マールBariquant et Marreが刈り込み用器具の日本での一般名称になった。日本では散髪脱刀令(1871)に伴い1874年(明治7)フランスから両手式のものを菱屋(ひしや)(現丸善)が輸入したのが最初である。国産品は、88年元鉄砲鍛冶(かじ)の伊藤兼吉(大阪)が「ジャッキ」を試作、実用化した。関東では、横浜のマーヤ商会が輸入したフランスの片手用ばね式バリカンをモデルとして国産化に成功、90年に東京・本郷の鉄砲鍛冶中村友太郎が初めて国産片手バリカンを市販した。日清(にっしん)戦争(1894~95)中に丸刈りスタイルが定着軍隊などで広く使用されるようになり、1920年(大正9)にはアメリカから電動式のものが輸入され始めた。現在ではコードレスの電動バリカンも普及している。

[坪内靖忠]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バリカン」の意味・わかりやすい解説

バリカン

金属製の頭髪刈り用具。上下2枚の櫛形の刃から成り,交差状の取手を動かすことにより刃を交互に左右に往復させて毛髪を刈る。刃の重ね合せの調節によって髪の長短を一分刈りとか五分刈りとかに分ける。日本では 1884年に長田けい太郎が,フランスのバリカン・マール製の手動式の毛刈器を持帰ったのが最初で,その社名通称となった。電気バリカンは 1920年にアメリカから初めて輸入された。

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