バーダラーヤナ(読み)ばーだらーやな(英語表記)Bādarāyana

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーダラーヤナ」の意味・わかりやすい解説

バーダラーヤナ
ばーだらーやな
Bādarāyana
(前100―後1ころ)

インドベーダーンタ学派哲学者。同学派の根本聖典『ブラフマ・スートラ』の著者と伝えられるが、実際にはそれ以前の人である。彼は、解脱(げだつ)を人生目的と説き、その手段としてブラフマン(梵(ぼん))の認識をもっとも重視した。この彼の立場は『ブラフマ・スートラ』に受け継がれ、ベーダーンタ学派の基本的立場となった。そのため彼は後世この学派の開祖とみなされるようになった。

[島 岩 2018年5月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「バーダラーヤナ」の意味・わかりやすい解説

バーダラーヤナ
Bādarāyaṇa

前1世紀ころの古代インドの哲学者。生没年不詳。インド古来の伝統説によれば,インドで最も有力な哲学学派であるベーダーンタ学派の開祖であり,この学派の根本聖典《ブラフマ・スートラ》の著者とされる。しかし諸学者の研究によれば,彼は前1世紀ころ活躍したらしく,一方現存の《ブラフマ・スートラ》は,おそらく400-450年ころ,現在の形に編纂され,バーダラーヤナに帰せられたものと推定されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーダラーヤナ」の意味・わかりやすい解説

バーダラーヤナ
Bādarāyaṇa

[生]前100頃
[没]後1頃
インドの哲学者,宗教家。正統バラモン系統の哲学派ベーダーンタ学派の開祖とされる。祭祀実行究極の目的とする,ミーマーンサー学派の祖ジャイミニに対し,人生の究極目的を解脱であるとした。ベーダーンタ学派の根本経典である『ベーダーンタ・スートラ』も,彼に帰せられる場合がある。

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世界大百科事典(旧版)内のバーダラーヤナの言及

【六派哲学】より

…この真理を聖典によって明らかに知るとき,人は解脱を得るのである。400~450年ころに現在の形に編纂された《ブラフマ・スートラ》(バーダラーヤナ作と伝えられる)が根本経典。この学派の説は一般に一元論であるが,根本経典の解釈をめぐって,後世,シャンカラの不二一元論,ラーマーヌジャの制限不二一元論,バースカラの不一不異論などが展開された。…

※「バーダラーヤナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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