改訂新版 世界大百科事典 「パナマソウ」の意味・わかりやすい解説
パナマソウ
Panama hat palm
Panama hat plant
Carludovica palmata Ruiz et Pav.
単子葉植物パナマソウ科のシュロに似た葉をつける多年草。茎は短縮して地下生,それから1~2mの葉柄と扇状の葉身をもった葉を多数,根生状に出す。葉身はシュロ状に折れ目があり,長さ60~90cm,4深裂し,さらに多数の細片に浅裂する。長さ50cmほどの花茎上に,長さ20cmほどの肉穂花序をつける。雌雄異花で,雌花は4本の不稔おしべが変形した糸状体を有し,それが花序をおおい,奇観を呈する。果実は熟すと子房の上部が相互につながったままむけ落ちて,種子を露出させる。若葉を採取し,陽乾し,さらに熱湯で煮てから乾燥,漂白してパナマ帽の原料などにした。またそのヤシに似た形を観賞するため温室で栽植もされるが,高温多湿を好む。南アメリカ北西部から中央アメリカにかけてが原産地で,エクアドルやペルーでは栽培もされる。
パナマソウ科Cyclanthaceaeは中南米特産の11属200種たらずからなる小さな植物群で,ヤシ科あるいはサトイモ科に近縁と考えられている。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報