日本大百科全書(ニッポニカ) 「パナマソウ」の意味・わかりやすい解説
パナマソウ
ぱなまそう
Panama hat plant
[学] Carludovica palmata Ruiz et Pavon
パナマソウ科(APG分類:パナマソウ科)の多年草。南アメリカ北西部から中央アメリカにかけての地域が原産地。エクアドルやコロンビアなどで広く栽培されている。ヤシに似た葉が地際から叢生(そうせい)する。葉身は円形で直径約1メートル、掌状に大きく四つに裂け、それぞれがさらに細かく裂けており、つやがある。葉柄は長さ2メートル以上になる。花は根元から20~30センチメートル伸び立った柄の先につき、長さ約15センチメートルの肉穂状の花序で、4個の雄花に囲まれた雌花が螺旋(らせん)状に並ぶ。果実は液果で熟すと赤色になる。葉の繊維は弾力があり強く軽く、耐久性が強い。葉身の開き始めた若い葉を収穫し、粗く裂き、熱湯に浸してから、ばらばらにならないように葉柄をすこしつけたまま葉身を均一に細裂する。次に漂白、乾燥させて、パナマ帽などの編物細工原料とする。パナマソウの名はこれに由来する。植え付け後2年目から収穫でき、植え付け5年たった株からは、年間約25枚の葉が収穫できる。なお、熱帯では観賞用として庭園などにも植えられている。
[星川清親 2018年10月19日]