日本大百科全書(ニッポニカ) 「イエネズミ」の意味・わかりやすい解説
イエネズミ
いえねずみ / 家鼠
house rat
house mouse
commensal rat
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目ネズミ科に属する動物のうち、家住性のネズミの総称。ノネズミに対する語で、ドブネズミ、クマネズミおよびハツカネズミの3種を含むが、狭義にはクマネズミをさす。世界各地に広く分布し、人間の生活環境に寄生して生活する。家屋、家畜舎、市場、倉庫、下水溝などをおもなすみかにし、季節により屋外と家屋との間を移動するものもいる。ドブネズミRattus norvegicusは頭胴長23センチメートルで、尾は体より短い。背面が褐色で、腹は灰白色。性質が荒く、肉食もし、水を好む。中央アジア原産で18世紀初めにヨーロッパに侵入した。クマネズミR. rattusは頭胴長16~20センチメートルで、尾は体より長い。全身黒色のものから、背面が褐色で下面は黄褐色など種々のものがいる。原産地は東南アジアの森林。木登りが巧みで天井裏などにすむ。ハツカネズミMus musculusは頭胴長7~10センチメートルと小形。原産地はアジア、ヨーロッパなど数か所。背面が黄褐色で、焦げたような体臭がある。
[土屋公幸]