ヒアリ(英語表記)fire ant

翻訳|fire ant

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒアリ」の意味・わかりやすい解説

ヒアリ
fire ant

膜翅目アリ科に属するヒアリ類の総称,または一般にヒアリ Solenopsis invicta(別名アカヒアリ)と呼ばれる種。南アメリカ原産で,熱帯地方や一部の温暖な地域に生息する。体色は赤茶色,体長は 1~5mmと小型。農地や公園など開けた場所に,土でドーム状の蟻塚をつくる。ヒアリ同士は分泌する化学物質や発音(体の一部分と他の部分をこすり合わせたり,たたいたりする)を通じてコミュニケーションをとる。近隣のアリのコロニーから威嚇された場合,職蟻(働きアリ)の成虫は攻撃行動をとるが,体や毒針の十分発達していない幼虫は死んだふりをする。職蟻は農作物に害を及ぼし,家禽などを襲うことで知られる。また,毒針で人間が刺されると,やけどのような痛みが生じ,強いアレルギー反応(→アナフィラキシー)により死にいたることもある。1930年代に南アメリカからアメリカ合衆国に移入し,21世紀にかけてオーストラリア,中国などに急速に分布を拡大した。日本国内では 2017年に初めて確認された。「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)の特定外来生物に指定される(→外来生物)。

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