日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒルマン」の意味・わかりやすい解説
ヒルマン
ひるまん
Sidney Hillman
(1887―1946)
アメリカの労働運動指導者。ロシア系ユダヤ人として生まれる。ストや革命運動参加で投獄を経験したのち、1907年に移民した。衣服工から組合活動に専念し、14年、合同衣服組合を組織して会長となり、終生その地位にあった。同組合では社会主義者が有力であり、彼もそれに近い立場で34年までAFL(アメリカ労働総同盟)に加入せぬまま、積極的かつリベラルな組合活動の新機軸を開いた。35年、ルイスとともにCIO(産業別組合会議)の前身である産業別組織委員会結成の中心となり、重工業部門の産業別大組合、活発な政治活動など現代アメリカ労働運動の方向をつくりだした。一方、F・D・ルーズベルトと親しく接触し、政府機関の諮問委員を歴任し、「労働者政治家」といわれた。
[長沼秀世]