ヒレコダイ(読み)ひれこだい(その他表記)crimson seabream

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒレコダイ」の意味・わかりやすい解説

ヒレコダイ
ひれこだい / 鰭小鯛
crimson seabream
[学] Evynnis cardinalis

硬骨魚綱スズキ目タイ科マダイ亜科に属する海水魚。青森県から高知県の太平洋岸、九州南岸から種子島(たねがしま)、山口県の日本海岸、東シナ海、朝鮮半島南岸、台湾沿岸、トンキン湾に分布する。体は卵形で、体高は高くて、よく側扁(そくへん)する。体長は体高の2.2倍以下。両顎(りょうがく)側部に2列の臼歯(きゅうし)がある。背びれ第3棘(きょく)、第4棘は著しく伸びて糸状を呈する。臀(しり)びれは近縁チダイと同じく9軟条。全長約40センチメートル。体は淡紅色。鰓孔(さいこう)の上部にある鰓膜の鮮紅色部の幅は狭い。体側に小青緑色斑点(はんてん)が散在する。おもに東シナ海南部の大陸棚上に多く生息する底層遊泳魚で、底引網漁獲される。淡紅色を帯びた白身の肉で、刺身吸い物、塩焼き、煮つけなどにして賞味される。チダイと同じチダイ属に属するマダイ亜科の魚で、背びれ第3棘と第4棘が著しく伸長することでチダイと容易に区別できる。

[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年9月19日]


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改訂新版 世界大百科事典 「ヒレコダイ」の意味・わかりやすい解説

ヒレコダイ
Evynnis cardinalis

スズキ目タイ科の海産魚。南方系で,南日本,東シナ海,台湾,東インド諸島などに分布している。東京でチコ,京都,大阪でヒレチコまたはエビスダイと呼ぶ。体型は他のタイ類とよく似ているが,本種は背びれの第3,4棘(きよく)のみが糸状に長く延長する。体色は背側が美しい赤色で,腹側は淡い。また,マダイのように体の上半部に青緑色の小斑点が散在している。タイ類のうちでは小型で,全長35cmに達する。やや沖合の海底にすみ,甲殻類,貝類,棘皮(きよくひ)動物,多毛類などの底生動物を食べる。これらの硬い殻をもつ動物を食べるため,両あごの側部には2列の臼歯(きゆうし)があり,前方には犬歯状の歯がある。その姿や色彩からマダイやチダイの代用品として用いられる。味もよく,刺身,塩焼き,煮物,吸物などにする。一本釣り,底引網,はえなわなどによって漁獲される。東シナ海からの漁獲が多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒレコダイ」の意味・わかりやすい解説

ヒレコダイ
Evynnis cardinalis

スズキ目タイ科の海水魚。全長 40cm内外。体は側扁し体高が高く卵形で,いわゆるタイ形をしている。背鰭の第3,4棘が長く糸状に伸びている。体は赤色で,体側上半部に青緑色の小斑が散在する。南日本に分布する。食用魚。

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栄養・生化学辞典 「ヒレコダイ」の解説

ヒレコダイ

 [Evynnis cardinalis].タイ科チダイ属の海産魚.食用にする.

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