ヒンジモ(読み)ひんじも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒンジモ」の意味・わかりやすい解説

ヒンジモ
ひんじも / 品字藻
[学] Lemna trisulca L.

ウキクサ科(APG分類:サトイモ科)の浮水生の一年草。根は1本またはない。植物体は細長い柄で連なり、多数が集まって群体をなし、通常は水中に浮くが、夏の花期には群体のまま水上に現れる。葉状体は卵状長楕円(ちょうだえん)形で長さ0.7~1センチメートル、幅2~4ミリメートル、緑色である。出芽嚢(のう)はやや背面に開く。日本では北海道、本州四国にみられ、南アメリカを除く世界の温帯から熱帯に広く分布する。名は、母体とその左右に出芽する娘体(じょうたい)との並び方が品の字を思わせることによる。

[邑田 仁 2022年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒンジモ」の意味・わかりやすい解説

ヒンジモ(品字藻)
ヒンジモ
Lemna trisulca; duck's-meat

ウキクサ科の多年草北半球の温帯に広く分布し,日本でも各地の池や沼の水中に生える。茎と葉の区別がない小さな植物で,体は扁平な三角形で薄く,長さ 1cmぐらい,長い柄によって互いに連絡している。根はないかまたは1本が体の下面に垂れ下がる。冬になると植物体は枯れてしまうが,小さな冬芽をつくって水面に浮く。三角形の葉状体がつながった様子が「品」の字に似ているところからこの名がある。

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世界大百科事典(旧版)内のヒンジモの言及

【アオウキクサ】より

…花は葉状体の下面に形成され,1本のおしべだけから成る雄花2個と1個のめしべから成る雌花が,共通した小さな苞につつまれている。同属のヒンジモL.trisulcata L.は葉状体間をつなぐ枝を生じる。 春から秋には水面を浮遊している。…

【ウキクサ】より

… よく似たアオウキクサLemna paucicostata Hegelm.の葉状体は2~4mmで両面とも緑色,葉状体はそれぞれ1本の根しか出さない。またヒンジモL.trisulcata L.の葉状体は長い柄で連結し,接しあわない。【堀田 満】。…

※「ヒンジモ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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