家庭医学館 の解説
びたみんびーじゅうにとたいしゃいじょう【ビタミンB12と代謝異常】
このビタミンが不足すると、悪性貧血(あくせいひんけつ)(コラム「巨赤芽球性貧血と悪性貧血」)や神経の障害がおこります。
過剰症はとくにおこりません。
●原因
日本人には、食事によってビタミンB12が不足するケースは、ほとんどみられません。
ほかの病気で胃を切除したり、胃になんらかの病変があると、このビタミンの吸収がさまたげられ、ビタミンB12欠乏症の原因になります。
また、ビタミンB12がはたらきを助ける酵素に異常があったり、このビタミンの利用や運搬に関係する酵素やたんぱく質に異常があり、そのためにおこる先天的ビタミンB12代謝異常もあります。
●検査と診断
悪性貧血や神経障害の有無をみて、ビタミンB12欠乏症が疑われたら、血中のビタミンB12の値を調べます。これが診断に役立ちます。
また、アミノ酸(バリン)を服用し、その代謝産物であるメチルマロン酸の尿中の排泄量(はいせつりょう)を調べて、ビタミンB12がどの程度はたらいているかを調べることもあります。
●治療
ビタミンB12欠乏症の治療は、ビタミンB12薬の服用または注射により行なわれます。
●予防
日本人では、ふつうに食事をしていれば、ビタミンB12の欠乏症はおこらないとされています。
しかし、高齢者ではビタミンB12の栄養状態が問題になることがあります。高齢化社会を迎えた日本でも、このビタミンに目をむける必要があります。
ビタミンB12は、動物性食品にだけ含まれています。
牛・豚・鶏の肝臓、魚(内臓を含む)や貝に多く含まれ、ついで牛・豚・鶏の肉、魚介類、鶏卵にも、比較的多く含まれています。
これらは、いずれも良質のたんぱく質を含む食品ですが、健康の維持増進には、さまざまな食品をバランスよく食べることが望まれます。