ビデオテックス(読み)びでおてっくす(英語表記)videotex

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビデオテックス」の意味・わかりやすい解説

ビデオテックス
びでおてっくす
videotex

端末としてパソコンテレビ受像機を用い、電話網を介して情報センターに接続し、利用者の要求に応じて文字・図形などの画像情報を提供するサービスをいう。ビデオテックスは利用者が情報センターから会話形式に情報を取り出せる会話型双方向のサービスである点、利用者端末として普及しているテレビ受像機などを利用している点、情報センターとしてデータセンターを利用できる点などが特徴といえる。

 ビデオテックスは、1995年(平成7)ごろからのインターネットの普及が始まるまで、その普及が世界的に期待されたが、インターネットがその役割を果たすようになり、現在では利用されていない。

[三木哲也]

日本におけるビデオテックス

日本においてはキャプテンという名称で1979年(昭和54)12月から実験サービスが開始され、2期にわたる実験を経て1984年11月よりビデオテックス通信サービスとして商用サービスが開始された。この商用システムは大別して、ビデオテックス通信網、情報センター、利用者端末および情報入力端末から構成される。情報センターは、共同利用型のキャプテン情報センターと情報提供者独自の外部情報センターとの2種類がある。外部情報センターは、銀行、証券業、旅行業、百貨店などにおいて、サービス提供者自身のコンピュータデータベースやサービス機能を活用し、情報提供や座席予約などのサービスを行うものであり、1998年末で約100のセンターが存在した。また、利用者端末にはテレビ受像機、パソコン、専用ディスプレー端末があり、1998年末の契約数は30万4000であった。

[三木哲也]

世界のビデオテックス

諸外国においてもビデオテックスのサービスが提供されていた。各国とも基本的な情報提供のほか、ホームショッピング、ホームバンキングなどのサービスが行われていた。代表的なものとして、イギリスのプレステルPrestel、ドイツのビルトシルムテキストBildschirmtext、フランスのテレテルTélételおよび電子電話帳(ミニテル)、カナダのテリドンTELIDONなどがある。これらのうち、もっとも普及したのはフランスのミニテルで、600万台以上の普及をみた。

[三木哲也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビデオテックス」の意味・わかりやすい解説

ビデオテックス
videotex

利用者の要求に応じて画像と文字情報を電話回線を通じて端末画面に提供するシステム。1980年代にニューメディアの一つとして開発された。双方向通信が可能なため,単に情報を引き出すにとどまらず,ホーム・ショッピングや航空機・列車の座席予約等の会話型処理が可能なことも特徴であった。日本では日本電信電話公社が 1984年キャプテン・システム(→キャプテンズ)として商用化したが,端末が普及しなかったことや,個人での情報提供が困難だったことなどから駅前での公共案内程度の利用にとどまり,2002年サービスを終了した。一方,フランスのビデオテックスシステムであるテレテルは,端末のミニテルを各家庭に無料で配ったこともあって,インターネットが普及するまで大いに活用された。1984年10月に国際電信電話諮問委員会 CCITTにおいて,北アメリカの NAPLPS方式,ヨーロッパの CEPT方式,日本から提案した CAPTAIN方式の 3方式が国際標準方式として承認されたが,パーソナル・コンピュータとインターネットの普及により役割を終えた。

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