指でつまめる程度の大きさのガラス玉,またそれを用いた遊び。ビーはポルトガル語の〈ビードロvidro〉の略。ガラスが普及するのは明治期になってからで,ラムネのびんに入っているガラス玉がまず利用され,〈ラムネ玉〉と呼ばれたが,やがて玩具としてつくられるようになり,ビー玉の名が起こった。ほかにも〈びん玉〉〈マーブル〉などの名があり,また遊び方によっては〈あてぐっちょ〉〈たまおとし〉〈めだまおとし〉など多くの名で呼ばれる。一般にはビー玉を転がすか,落下させるか,投げるかし,穴に入れたり,相手のビー玉に当てたりして遊ぶ。欧米でもマーブルmarblesの名で盛んに行われ,18世紀イギリスのパブの代表的ゲームの一つでもあった。この種の単純な遊びの起源はきわめて古く,日本ではムクロジの種子やぎんなん,どんぐりなどを用いて行われていた。《和名抄》には〈意銭(ぜにうち)〉の名もあり,銭を打ったらしいが詳細は不明である。江戸時代には穴一に類する遊びが子どものあいだでも盛んで,投げるものは銭のほか,木の実,貝,石,粘土を焼いた泥玉などであった。ビー玉はこれを受け継いだものである。
執筆者:半澤 敏郎
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