デジタル大辞泉
「穴一」の意味・読み・例文・類語
あな‐いち【穴一】
近世の子供の遊び。地面に小さな穴をあけ、約1メートル離れた線の外から銭などを投げ入れて勝負を競う。穴打ち。銭打ち。《季 新年》「―の筋引すてつ梅が下/太祇」
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あな‐いち【穴一】
- 〘 名詞 〙 子供の遊びの一種。直径一〇センチメートルくらいの穴を掘り、その前一メートルほどの所に一線を引き、そこに立ってムクロジ、ゼゼガイ、小石、木の実などを投げる。穴に入った方が勝ちとなるが、一つでも入らないのがあったら、他のムクロジ、ゼゼガイなどをぶつけて、当てたほうが勝ちとなる。銭、穴一銭を用いるようになって、大人のばくちに近くなった。後には、地面に一メートル程の間を置いて二線を引き、一線上にゼゼガイなどをいくつか置いて他の一線の外からゼゼガイなど一つを投げて当たったほうを勝ちとする遊びをいうようになった(随筆・守貞漫稿(1837‐53))。あなうち。
- [初出の実例]「高札書て入捨にして〈利方〉 穴一の一文勝負なりとても〈直成〉」(出典:俳諧・天満千句(1676)二)
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穴一 (あないち)
貨幣を使ってする賭博。地面に貨幣が入るよりはやや大きい穴を掘って,少し離れて数人が交互に貨幣を投げ入れる。入らなかった者の貨幣は,入った者がとる。江戸時代中期ごろから市井の簡単な賭博として,主として江戸で行われた。正月になると,子どもたちがお年玉などをもらうので,穴一をするのが習わしになっていた。貨幣を使うといっても大方は一文銭だった。おとながするときは,一分銀を使うこともあったらしいが,そのような高額貨幣を投げる穴一は珍しかった。穴一とは穴打ちという言葉の転訛(てんか)ともいわれている。路上に硬い物で線を引いてその線を基準に行う穴一もあった。転じては室内でテーブル上で行うことも明治以後はあった。穴印地,穴ぽん,意銭,きづ,むさし,かんきり,穴道,てぎ,けし,お江戸,筋打ち,ろく,又小路などと地域や時代によって異称がある。
執筆者:加太 こうじ
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穴一【あないち】
江戸時代に流行した遊戯の一つ。地に径12cmほどの穴を掘り,適当な間隔の所に一線を引き,そこから小石,果実,銭などを投げ入れる。銭を用いるのは元禄期に流行。賭博(とばく)類似として銭の使用が禁じられると,明治時代には鉛製の穴一銭(七福神などの図柄)が売り出された。穴印地,穴ぼん,むさし,穴道など,地域や時代によって呼称が異なる。
→関連項目ビー玉
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穴一
あないち
子供の古い賭(か)け事遊び。銭の大きさほどの円形の小穴を地面にあけ、一定の線外から銭を投げて穴に入ったものを自分の所得とする。または相手の指定した銭に打ちつけ、当たったものを勝ちとする。穴一は、穴の前に一線を引いて勝負を争う意味とも、また「穴打ち」の転訛(てんか)ともいう。平安時代に中国から渡来した遊びで、江戸時代に流行した。銭の代用として鉛製の銭形玩具(がんぐ)も生まれた。めんこ、ビー玉遊びに似ている。
[斎藤良輔]
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