改訂新版 世界大百科事典 「ピスタシオ」の意味・わかりやすい解説
ピスタシオ
pistachio
Pistacia vera L.
ウルシ科の落葉樹。園芸上は堅果類に属し,種子が食用にされる。中央アジアから西アジア原産。1世紀にシリアからローマに渡来,その後ヨーロッパや北アフリカ諸国に伝わり,広く栽培されるようになった。アメリカには19世紀に導入され,アリゾナ,テキサスなどの諸州で栽培されている。世界の主要生産国はアフガニスタン,イラン,シリア,トルコ,イタリア,アメリカなどである。日本では風土が適さず栽培がみられない。樹高10mに達し,雌雄異株で花は風媒花,展葉前に開花する。果実は卵形,長さ2.5cm前後,内果皮は白色で硬く,緑色または黄色の子葉を含む。熟すると裂開する。塩味をつけた種子はデザートやつまみに,また菓子やアイスクリームの原料に用いられる。緑色のものほど上等とされている。テレビンノキP.terebinthus L.,オウレンボク(黄蓮木)P.chinensis Bunge,マスティクスP.lentiscus L.,セイコウボク(清香木)P.weinmannifolia Poiss.など数種の近縁種があり,欧米では日陰樹や庭園樹に利用する。
執筆者:志村 勲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報