改訂新版 世界大百科事典 「フィッシュソリュブル」の意味・わかりやすい解説
フィッシュソリュブル
fish solubles
魚類から得られる新鮮な液状物を濃縮した家畜飼料。原料により魚汁系,内臓系,肉質系の各ソリュブルに分けられる。魚汁系ソリュブルとはフィッシュミールの製造工程で副生する煮熟液(クッカードレイン)や圧搾液を遠心分離し,固形分と油脂を除き濃縮したもので,日本のフィッシュソリュブル生産量の過半を占める。内臓系ソリュブルとは魚類の内臓を磨細し,自己消化や酵素添加によりタンパク質を分解・液化させ,固形分と油脂を除き濃縮したもので,魚汁系ソリュブルについで生産量が多い。肉質系ソリュブルは全魚体や不可食部分(残滓(ざんさい))などを原料としてつくられるが,製品は粉末状になるため粉末ソリュブルともいわれる。日本ではほとんど生産されていない。
製品の外観や性状は原料や製造法などにより一様ではないが,一般に淡褐色ないし暗褐色の半流動状のペーストである。日本科学飼料協会推奨基準による組成は水分50%以下,粗タンパク質35%以上,粗灰分10%以下,揮発性塩基窒素および水溶性窒素はそれぞれ全窒素の15%以下および80%以上と定められている。フィッシュソリュブルは窒素成分と水溶性ビタミンの含量が高く家畜に対する飼料効果が優れており,ふすまなどに添加して用いられるほか,フィッシュミールの乾燥工程で添加しミールの粗タンパク質量などを増加させる目的にも使われている。
執筆者:山口 勝巳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報