日本大百科全書(ニッポニカ) 「フラートン」の意味・わかりやすい解説
フラートン
ふらーとん
John Fullarton
(1780?―1849)
イギリスの銀行家、金融理論家。初め医学を学び、1802年から13年までインドのベンガルで軍医補を勤め、除隊後カルカッタ(現コルカタ)の個人銀行の組合員となり、産を得て帰国した。1844年「ピール銀行条例」の成立を機に、その基本原理である通貨主義に反対し、カルカッタ時代に得た貨幣・金融の知識により、銀行学派の立場にたって通貨論争に参加した。1844年『通貨調節論』On the Regulation of Currenciesを出版、ピール銀行条例が保証準備発行直接制限制度に拠(よ)っていることを批判し、退蔵貨幣の役割を重視するとともに、銀行券は政府紙幣と異なり、生産物の裏づけのある手形の割引によって発行される限り貸出期限満了とともに還流し、物価に影響しないことを主張して、通貨学派の貨幣数量説を否定した。
[吉川光治]