通貨論争に際して銀行主義と対立した考え方。ロイドSamuel Jones Loyd(1796―1883。オーバーストーン卿(きょう)1st Baron Overstone)、ノーマンGeorge Warde Norman(1793―1882)、トレンズRobert Torrens(1780―1864)、R・ピールらによって主張された。通貨の発行量を貴金属量に一致させるべきだと説く。D・リカードによる貴金属の国際的配分、金本位の自動調節作用、貨幣数量説を継承した政策論で、ピール銀行条例(1844)として具体化された。
[鈴木芳徳]
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…それ以前,イギリスにおいてはイングランド銀行のほか多数の地方銀行がそれぞれに銀行券を発行しており,発行限度額や兌換(だかん)準備については各銀行の独自の判断に任されていた。しかし,1830年代の恐慌時に多額の金が国外に流出し,イングランド銀行の金準備が不足するに至り,発券制度のあり方について検討の気運が高まり,通貨主義と銀行主義(〈通貨主義・銀行主義〉の項参照)の両者の立場の間で激しい議論が起こった。このときは結局,銀行券の過剰発行を避けるため国家によって銀行券発行高を厳重に制限する必要があるとする通貨主義の立場から,イングランド銀行は正貨(金)準備に見合う金額のほか,1400万ポンドに限って国債などの有価証券を保証物権として保証発行fiduciary issueを行うという保証発行直接制限制度が採択された。…
※「通貨主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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