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ふるさと納税 ふるさとのうぜい

知恵蔵の解説

ふるさと納税

個人住民税の一部を、納税者が選択する自治体に回せるようにする仕組み。都市と地方の税収の格差是正を目的として、菅義偉総務大臣が2007年5月に創設を表明した。これを受けて、6月に総務大臣の諮問機関として、「ふるさと納税研究会」が立ち上げられ、10月5日に最終報告書が提出された。慢性的な財政赤字に悩む地方からは賛成する意見が多い一方で、大都市部からは反対や慎重な意見が多い。賛成意見として、故郷を離れても、その地域に貢献することができる点、反対意見として、「ふるさと」の基準が明確でない、地方税の「受益者負担の原則」に反する、自治体の税務が煩雑になるといった点などが挙げられている。「ふるさと納税研究会」最終報告書では、納税という形ではなく、納税者が自治体に寄付を行うと、その分が住民税の納税額から控除される方式が採られることとなった。ただし、5000円は事実上の手数料として控除の対象から除くほか、納税額の1割を控除の上限とし、本籍地出生地といった「ふるさと」以外への寄付にもこの制度を適用することとされた。総務省は08年度税制改正にこの制度を盛り込む方針である。

(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2008年)

ふるさと納税

菅義偉総務大臣(当時)は2007年5月1日、都会生活者が、住民税の1割程度を生まれ故郷の自治体に払えるようにする「ふるさと納税」を提唱した。背景には政府・与党が04年11月に決定した三位一体改革がある。同改革は、(1)国から地方への補助金の削減、(2)地方交付税交付金の削減、(3)国から地方への税源移譲を内容としており、地方財政を悪化させた。総務省の諮問機関である「ふるさと納税研究会」(座長・島田晴雄千葉商科大学学長)は07年6月1日、第1回会合を開き、「ふるさと納税」構想の制度設計に着手した。会合では住民税の一部を居住地以外の自治体に納める制度や、自治体への寄付金を住民税から税額控除する制度案などが報告され、08年度税制改正での実現を目指す、としている。地方自治体の歳入・歳出総額は06年度地方財政計画によれば83.1兆円、地方税収入は34.9兆円であるから、地方税収入は地方自治体の歳入・歳出の約40%にすぎない。国には地方の財政収入の不足を補い地方自治体が本来なすべき住民の福祉の増進のために地方交付税や国庫負担金を支払う義務がある。地方自治体の歳入不足は「ふるさと納税」で解決されるものではない。

(浦野広明 立正大学教授・税理士 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ふるさと納税

出身地や応援したい自治体に寄付すると、2千円を超える額が個人住民税などから控除される制度。2008年度に始まった。総務省の15年度の調査では、返礼品を出す自治体は約9割にのぼり、事実上「2千円で返礼品がもらえる制度」として人気を集めている。寄付総額は約1653億円で、うち4割の約675億円が返礼品の調達費などに使われた。都道府県別では、北海道が150億3600万円でトップ。企業が自治体の事業に寄付すると税負担が軽くなる「企業版ふるさと納税」も16年度に始まった。

(2017-05-03 朝日新聞 朝刊 群馬全県・1地方)

ふるさと納税

出身地や応援したい自治体などに2千円超の寄付をすると、超えた分が所得税と住民税から控除される制度(上限あり)。就職などで都会に出た地方出身者の税金を地方へ還元させようと創設された。自治体間で返礼品競争が過熱していることを受け、総務省が4月1日付で返礼品の価格を寄付額の3割以下とすることや高額な返礼品を送らないよう求める通知を出した。同省市町村税課によると、通知に強制力はないが、通知に従わない自治体に対しては直接、担当部署に連絡することもあり得るという。

(2017-05-24 朝日新聞 朝刊 鳥取全県・1地方)

ふるさと納税

自分の故郷や応援したい自治体に寄付(納税)すると、寄付額から2千円を差し引いた額が所得税や住民税から控除される制度。総務省によると、2015年度の県内の自治体への寄付額は約23億8100万円(約14万7400件)。

(2017-06-22 朝日新聞 朝刊 岩手全県・1地方)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について | 情報

百科事典マイペディアの解説

ふるさと納税【ふるさとのうぜい】

日本国内において任意の自治体に寄付すること。また,寄付した額に応じて所得税と個人住民税から一定の控除が受けれる寄付金控除制度をいう。日本では進学や就職により,都市部に人口が集中する傾向がある。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ふるさと納税
ふるさとのうぜい

ふるさとや応援したい自治体へ寄付をした個人や法人の納税額を軽減する制度。公益にかなう寄付をした納税者の税額を減らす寄付税制の一種である。2004年(平成16)に長野県泰阜(やすおか)村が導入した寄付条例が前身で、改正地方税法が施行した2008年度から個人向け制度が始まった。自分の育ったふるさとを応援するという趣旨からふるさと納税という名称であるが、全国どの自治体へも寄付できる。個人は寄付額から2000円を差し引いた額について、年収などに応じて限度額まで個人住民税や所得税から控除される。寄付先が五つまでなら確定申告は不要である。納税者が税の使い道を指定することも可能。寄付先から返礼品として高級和牛、温泉宿泊券などの特産品や特典をもらえることもあるため人気をよび、導入当初の納税額は年100億~150億円であったが2014年度に388億円、2015年度は1653億円と急増した。2015年の寄付者は全国で約129万人。被災地支援を目的とした寄付が納税額を押し上げた面もある。2016年からは企業版ふるさと納税制度(地方創生応援税制)が始まった。企業が自治体の進める地方創生事業(内閣府が認定)に寄付すると全額損金算入され、寄付額の最大6割分の法人税や法人住民税が軽減される。
 ふるさと納税は使い道を指定できる唯一の税で、都市と地方の税収格差を是正する効果があると政府は説明している。また、欧米に比べて遅れぎみの寄付文化を醸成する役割があるとの指摘もある。一方、自治体の特典競争が過熱し、納税額の多くが高価な特産品購入に消えて自治体財政に寄与しない例も出ている。都市部自治体の住民税は2016年に998億円減り、ふるさと納税は受益者負担の原則に反するとの批判が出ている。所得の多い人ほど控除額が多くなるため、富裕層の節税対策に使われているとの指摘もある。総務省は2015、2016年に換金性の高い返礼品や高額返礼品を使わないよう全国の自治体へ要請した。[矢野 武]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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