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住民税(読み)じゅうみんぜい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

住民税
じゅうみんぜい

地方税の一つ (地方税法4条2項,5条2項) 。地方税中最も重要な税目で,道府県民税 (4条2項) と市町村民税 (5条2項) の2つがあり (この規定は都とその特別区に準用される) ,これらをあわせて一般に住民税と呼ぶ。いずれも応益負担の原則に立ち,個人と法人の所得を課税物件とする。課税方式としては,個人に対しては所得割りと均等割りとに,法人に対しては法人税割りと均等割りとに分れる (23条1項) 。また,道府県民税については 1987年に利子割りが設けられている。所得割りは国税の所得税と同じように個人の所得に応じて課税する方式,均等割りは所得の多少にかかわらず均等の額で課税する方式であり,人頭税的な意味をもつ。法人税割りは法人税額に応じて課税する方式,利子割りは支払いを受けるべき利子などの額に応じて課税する方式である。なお利子割りは市町村民税にはないが,道府県民税として徴収した利子割りの5分の3に相当する額を市町村に交付する仕組みとなっている。

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知恵蔵の解説

住民税

道府県が住民に課税する道府県民税と、市町村が住民に課税する市町村民税を合わせて、住民税と呼ぶ。ここでいう住民とは、個人だけでなく、法人も含まれる。したがって、住民税は個人住民税法人住民税から成る。個人住民税も法人住民税も、それぞれ国税の所得税や法人税に付加される所得割、法人税割と共に、定額で課税される均等割がある。所得割の税率は、道府県民税と市町村民税を合わせて5%、10%、13%の3段階が設けられていた。しかし、平成18(2006)年度に実施された三位一体改革により、地方自治体の自主財源を強化する目的で所得割税率が10%一本の比例税率に改められた。

(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

住民税【じゅうみんぜい】

道府県民税および市町村民税(東京都の特別区の区域では,都民税特別区民税)の総称。均等割を含み,負担分任制のたてまえから都道府県・市町村が広くその住民(個人,法人)から賦課徴収する。1878年以来の戸数割を改め1940年設置。地方税の主力をなす。1950年シャウプ勧告による改正で道府県民税は廃止,1954年復活。
→関連項目所得税

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世界大百科事典 第2版の解説

じゅうみんぜい【住民税】

地方税のなかの基幹的税目で,都道府県が課している都道府県民税と,市町村が課している市町村民税を総称していう。ともに地域社会の住民である個人と法人の所得に対して課せられる所得課税である。地方税の性格としては,一般的には,所得税のように納税者の全体の支払能力に基づいて課税する(人税という)よりも,固定資産税のように個々の課税物件に着目し,その各個の支払能力に基づいて課税する(物税)方式のほうが,地域分割性が明確に行えること,受益と負担の広益性が充足されることなどの点から,より適当であると考えられている。

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大辞林 第三版の解説

じゅうみんぜい【住民税】

地方税の一。個人と法人の所得を課税対象とするもの。道府県民税と市区町村住民税とがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

住民税
じゅうみんぜい

都道府県民税と市町村民税(東京都の特別区の区域では、都民税と特別区民税)をあわせた呼び方である。都道府県および市町村が、その区域内に住所、事務所などを有する個人および法人等に課する税で、個人に課する住民税を個人住民税、法人等に課する住民税を法人住民税という(ただし、特別区の区域では法人住民税は都が課する)。住民税は均等割と所得割から、法人住民税は均等割と法人税割からなる。都道府県民税は事業税と並んで都道府県税中の中心的な税目であり、市町村民税も固定資産税とともに市町村税のなかで大きな比重を占めている。[大川 武]

沿革

住民税の端緒は、1878年(明治11)の府県税戸数割である。88年に市制町村制が公布され、市町村は府県税戸数割に対して付加税を課することができることになった。府県税戸数割は、1926年(大正15)に市町村へ移譲され、戸数割は市町村の独立税となった。さらに、40年(昭和15)の税制改正で戸数割が廃止され、それにかえて市町村民税が創設された。第二次世界大戦後、46年(昭和21)に都道府県民税が創設されたが、シャウプ勧告に基づく50年の税制改正で、従来の都道府県民税および市町村民税が廃止され、新たに現行の市町村民税が設けられた(当初は法人に対しては均等割のみが課せられたが、翌51年度からは法人税割も課税されることになった)。さらに、54年には、市町村民税の一部を割いて都道府県民税が創設された。その後、課税方式などに改正が加えられながら、今日に至っている。[大川 武]

現行制度

住民税の納税義務者はのとおりである。ただし、次に掲げる者には、住民税が課税されない。
〔1〕個人 (1)前年中に所得がなかった者、(2)生活保護法の規定による生活扶助を受けている者、(3)障害者、未成年者、老年者、寡婦で前年中の所得金額が100万円以下の者(なお、次の者には均等割が非課税となる。(1)均等割のみの納税義務者のうち、前年中の所得金額が市町村の条例で定める金額以下の者、(2)均等割の納税義務を負う夫と生計を一にする妻)。
〔2〕法人等 (1)国、地方公共団体、日本育英会など一定範囲の公共法人、(2)日本赤十字社、社会福祉法人、宗教法人、学校法人など一定範囲の公益法人等(ただし、収益事業を行う場合に限り納税義務を負う)。
 所得割の課税標準は、前年の総所得金額、退職所得金額(分離課税に係るものを除く)および山林所得金額から、基礎控除、配偶者控除、扶養控除およびその他の所得控除を行ったのちの金額である。また、法人税割の課税標準は、国税である法人税の税額(ただし、法人税法や租税特別措置法による税額控除前のもの)である。所得割は所得税と同様に所得に対して課する税であるが、住民が広く負担を分かち合うという趣旨で課する税であるという考え方から、課税最低限(その額以下の所得の者には課税されないという限度額)が所得税のそれよりも低く定められている。
 個人の均等割額が人口の段階に応じて区分されているのは、人口の規模により行政水準の程度に差があるので、それに応じた税負担を求めようとする趣旨であると説明されている。
 所得割については、税額控除として配当控除および外国税額控除がある。また、退職所得、利子・配当所得、譲渡所得などについては、課税の特例が設けられている。
 個人住民税の徴収方法には、一般の納税者の場合の普通徴収と、給与所得者の場合の特別徴収(所得税の源泉徴収の方法に準ずる)の二つの方法がある。また、法人住民税の場合は、申告納付の方法がとられている。[大川 武]

問題点

住民税については、所得割の課税最低限が所得税のそれよりも低いこと(そのうえ最近では、それが生活保護基準額をさえ下回ってしまい、時限的措置として所得割の非課税限度額の引上げが行われている)、所得税において源泉分離課税された利子所得などについて所得割が課税されないなど税負担の不公平がみられること、所得割において前年所得課税方式がとられているために負担の不合理感を与える場合があること、法人税割は実質的には法人税付加税の性格をもっており、法人税に係る租税特別措置等の影響がそのまま法人税割にも及ぶことなどの問題点が指摘されている。[大川 武]

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