ブロマイド紙に焼付けた映画スターなどの写真のこと。誤って〈プロマイド〉と呼ばれていた。大正末から昭和初期へかけて映画が大衆的な娯楽になるとともにキャビネ判に焼き付けた映画のスチールやスターのポートレートが人気を呼び,1枚5銭から10銭ぐらいで売られた。駄菓子屋で売る1銭の小さいブロマイドもあった。映画ファンのブロマイドのコレクションは昭和10年ころまで流行したが,当時はキャビネ判以上の写真は珍しがられたので,大判のポートレートなどは特殊なものと思われていた。第2次大戦後,ポスターやカレンダーなどの印刷物が増えるとともに廃れたが,60年代までブロマイドの売行きが,スターの人気のバロメーターでもあった。
執筆者:加太 こうじ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… 1854年にフランス人A.A.ディスデリDisdériによって特許がとられた〈名刺判写真(カルテ・ド・ビジットcarte de visit)〉は,レンズをたくさん取り付けたカメラによって1枚の原板に8枚,12枚等の写真を写しだすものであったが,これによってよりたくさんの肖像写真が安価に写されたことはもちろんのこと,このシステムを使って有名人の肖像を複写複製して売り出したことは,いままでにない側面を〈肖像〉にもたらした。今日いうところのブロマイド写真の始まりといえるだろう。肖像写真の写真史初期における展開は,写真を大衆に受け入れさせただけではなく,社会の中で機能するものとして確立させていく過程であった。…
※「ブロマイド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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