翻訳|calendar
天文学から計算された暦を一般的に使いやすくしたもの。1年365日を週や月に従って配列表記してあり、休日や年中行事を知らせるものとして日常生活の必需品となっている。現在使用されている世界共通のカレンダーは、1582年10月15日にローマ教皇グレゴリオ(グレゴリウス)13世が、ユリウス・カエサルの決めたユリウス暦の矛盾を調整し、制定したもので、一般にグレゴリオ暦とよばれている。日本では1873年(明治6)に施行された。
カレンダーの語源は、ラテン語のカレンダリウムcalendariumとカレンダエcalendaeである。古代ローマでは、毎月初日をカレンダエといって、この日を賃貸料や税金などの支払い日としていたが、その際に使用する会計簿のことをカレンダリウムといった。また、このカレンダリウムはカラーレcalale(人々を呼び集める)からきており、当時は暦をつかさどる僧侶(そうりょ)が新月の現れた直後に人々を呼び集めては、何日後に満月になるかを知らせた。このカレンダリウムを暦法に転用したのは、初代ローマ皇帝アウグストゥス(在位前27―後14)で、彼は新しいユリウス暦の普及のために、四角の巨石に彫った暦を国内の重要な道路や十字路に立てた。これもカレンダリウムといった。
カレンダーが大量に普及するようになったのは、ヨーロッパでは1460年代にグーテンベルクによって印刷暦が発行されてからのことで、日本では1883年(明治16)に、引札(ひきふだ)から多色の広告一枚暦がつくられてからである。そして1903年(明治36)に日めくりカレンダーが出現して以来、カレンダーはその機能性、装飾性、宣伝性の三大要素をもとにさまざまに表現され、情報化社会の知的媒体となっており、年末贈答用のほか大量に使用されている。
[清水真輝雄]
『デイヴィッド・E・ダンカン著、松浦俊輔訳『暦をつくった人々』(1998・河出書房新社)』▽『暦の会編『暦の百科事典』2000年版(1999・本の友社)』▽『ジャクリーヌ・ド・ブルゴワン著、池上俊一監修、南条郁子訳『暦の歴史』(2001・創元社)』▽『佐藤健一郎・田村善次郎著『暦と行事の民俗誌』(2001・八坂書房)』▽『岡田芳朗著『アジアの暦』(2002・大修館書店)』
繊維,紙,プラスチックなどの仕上げ工程において,表面の平滑性を高めたり光沢をつけるために使用される装置。数本の鉄製ロールを組み合わせたもので,ロール間に製品を通して圧縮する。紙についてみると,抄紙機の乾燥工程から出てきた紙の表面は平滑度がそれほど高くないが,カレンダーを通すと紙中の微小な細孔が減少し,平滑性が高まる結果,印刷時の網点などの欠落が少なくなり印刷品質が向上する。当然,ロールの数が多いほど平滑性は増加するが,それに応じて紙厚は減少する。ロールは鋳造の際表面を急冷して作られるチルドロールで,表層は主成分の炭化鉄のほかにマンガン,硫黄,ケイ素,リン,クロムなどを含む。とくに強い光沢をつける場合には,上記鉄製ロールと綿ロールとを交互に積み重ねたスーパーカレンダーを使用する。
執筆者:臼田 誠人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…本居宣長は《真暦考》で〈さて来経(きへ)といへば,すなはち年月日の経ゆくこと,……,暦をこよみとつけたるも来経読(けよみ)にて一日一日とつぎつぎに来経るを数へゆく由の名なり〉と別説をとなえている。ここで暦の意味を考えると,暦(アルマナックalmanac)は,日を記述するための基準としての暦(カレンダーcalendar)と,天象の予言書としての暦(エフェメリスephemeris)という異なった二つの目的をもつものが混同されていっしょに用いられていることがわかる。現在ふつうに使われている,いわゆるカレンダーは日を記述するためのものであり,天象については専門家の用いる天体暦が別に存在する。…
※「カレンダー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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