駄菓子をあきなう店。駄菓子は安価な材料を使った粗製の菓子のことで,《続飛鳥川(ぞくあすかがわ)》によると18世紀後半の江戸では,板おこし,だるま糖,栗焼,ニッケイ糖,大ころばしなどが代表的なものだった。いずれも内容ははっきりしないが,黒砂糖を使ったおこしやあめの類が多かったようである。それらをどこの町でも番太郎が副業として,わらじ,鼻紙,もぐさ,ろうそくなどの荒物(あらもの)とともに番小屋であきなっていた。それで,〈番太郎菓子〉と俗称されたという。1950年代ころまで,駄菓子屋は子どもたちのたまり場だった。駄菓子類とともに,番小屋商売からのなごりともいえる,ごく日常的な雑貨を置く店もあったが,商品はおおむね子どもたちの遊びのための必需品であった。めんこ,べいごま,ガラスのおはじきや石蹴り玉,ほかに夏は花火,冬はたこ(凧)や羽根を売っていた。〈あてもの〉というのは,小さな辻占のような紙片を巻きこんだものがいっぱい貼りつけてあり,金を払ってそれをむき,うまく当りが出ると元手のなん倍かの価のものがもらえるというものだった。食べ物では駄菓子類のほかにも,サメの皮の入った煮こごりだの,細く切った赤い紙でたばねたニッケイ(ニッキ)の小枝などがあった。江戸時代から神田の竜閑町などにこうした駄菓子の問屋があった。夏にはところてんを売り,夏以外は火鉢の上に鉄板を置き,そこで子どもたちに文字焼(もんじやき)を焼かせる店もあった。この文字焼の高級化したのがお好み焼である。
→お好み焼
執筆者:鈴木 晋一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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