化学式AgBr。淡黄色固体。水溶液中で硝酸銀AgNO3と臭化カリウムKBrとの反応で微細粉末として沈殿する。光にあてると分解して銀を遊離し,黒色となる。天然に臭銀鉱としてメキシコに産する。融点430℃,沸点1533℃,比重6.47,塩化ナトリウム型結晶構造をもつ。水に対する溶解度1.35×10⁻4g/l(25℃),溶解度積5.2×10⁻13(mol/l)2(25℃)。熱濃縮酸に溶けるが,多くの酸には不溶。アルコールに溶けない。濃アンモニア水にいくらか溶ける。チオ硫酸ナトリウムやシアン化カリウム溶液には溶ける。銀のハロゲン化物中で最も光に敏感で,そのため感光材料(フィルム,印画紙,乾板)に広く利用されている。
執筆者:水町 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
銀と臭素の化合物。硝酸銀水溶液に臭化アルカリ水溶液を加えると沈殿する。淡黄色固体。強い感光性があり、光に当たると銀を遊離して黒色となる。シアン化アルカリ、チオ硫酸ナトリウム水溶液には錯塩をつくって溶ける。アンモニア水にはわずかに溶け、エタノール(エチルアルコール)には不溶。熱濃硝酸には溶けるが、その溶液からは、複塩AgNO3・AgBr(融点182℃)が得られる。ハロゲン化銀中、感光性は最大で、光、電子線、各種放射線によって潜像を形成し、現像液によって現像される。このため写真感光材料の感光主体として広く用いられ、写真フィルム、乾板、印画紙中に含まれている。ただし臭化銀の感光する可視光の長波長端は500ナノメートル付近にあるので、黄色光や赤色光には感光しない。そのため通常の感光材料では増感色素を加えている。
[中原勝儼]
臭化銀
AgBr
式量 187.8
融点 434℃
沸点 ―
比重 6.473(測定温度25℃)
結晶系 立方
溶解度 0.02mg/100mL(水20℃)
AgBr(187.77).硝酸銀水溶液に十分量の臭化水素酸または臭化アルカリ水溶液を加え,生じた沈殿を濾過し,よく水洗して遮光下で乾燥すると得られる.淡黄色の粉末.岩塩型構造.密度6.47 g cm-3.融点432 ℃.水に対する溶解度は0.725×10-6 mol L-1(25 ℃).シアン化アルカリおよびチオ硫酸ナトリウム水溶液に錯塩を生成して溶ける.写真の感光剤として写真フィルムや印画紙,乾板などに用いられる.[CAS 7785-23-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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