プルドーベイ油田(読み)プルドーベイゆでん(その他表記)Prudhoe Bay

改訂新版 世界大百科事典 「プルドーベイ油田」の意味・わかりやすい解説

プルドー・ベイ油田 (プルドーベイゆでん)
Prudhoe Bay

アラスカノーススロープ北端にある油田。1968年にアルコ社によって発見された。ノース・スロープにおける探鉱は1910年代に始まったが,40年代から60年代初めまでは小規模な3油田と3ガス田が発見されただけであった。64年から67年にかけて行われた入札において,リッチフィールド社(1966年にアトランティック・リファイニング社に吸収されてアルコ社となる),ハンブル社(現,エクソン社)およびブリティッシュ・ペトロリアム社が最大の面積を獲得した。しかしアルコ,ハンブルによるプルドー・ベイ・ステート1号井で油が発見されるまでに11坑の試掘が行われ,すべて失敗している。本油田の可採埋蔵量は126億バレルと推定され,アメリカでは最大,世界第18位である。主として,不整合の直下の下部白亜紀の砂岩にトラップされたものである。アラスカ縦断パイプラインの建設は,環境問題についての紛争のために約4年遅れて着工され,77年6月に送油が開始された。油質は比重27.5~25.7°API,硫黄分1.12%で,重質留分が多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プルドーベイ油田」の意味・わかりやすい解説

プルドーベイ油田
プルドーベイゆでん

アメリカ合衆国アラスカ州ブルックス山脈の北麓プルドーベイ沿岸のノーススロープに位置する大油田。1968年アトランチック・リッチフィールド ARCOが発見。究極的可採埋蔵量(→可採埋蔵量)は約 120億バーレルといわれる。1969年 200万バーレル/日のパイプラインをノーススロープから南方バルディーズまで建設する計画が立てられたが,地元の先住民,環境論者の反対などで工事は大幅に遅れ,1977年春に総工費 92億ドルでようやく完成,6月に送油を開始した(→アラスカ・パイプライン)。原油の性状は API比重 27.5度,硫黄分 1.12重量%。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プルドーベイ油田」の意味・わかりやすい解説

プルドー・ベイ油田
ぷるどーべいゆでん
Prudhoe Bay

アメリカ合衆国、アラスカ州ノース・スロープの大油田。ボーフォート海に面する。面積約500平方キロメートル、埋蔵量は15億キロリットルの油と、5600億立方メートルを超えるガスが賦存すると推定される。1968年アルコ社により発見された。同油田の原油輸送のため、南のアラスカ湾にあるバルディーズ港までアラスカ縦断パイプラインが敷設された。同パイプライン建設は環境保護団体から強い反対を受けたが、1977年より送油を開始した。同油田開発はアメリカの石油生産に大きな貢献をしているが、地理的条件により、日本への輸出もときどき話題となっている。

[田中正三]

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デジタル大辞泉プラス 「プルドーベイ油田」の解説

プルドー・ベイ油田

アメリカにある油田。アラスカ州北部の北極海沿岸に位置する。1968年発見。規模は同国最大級。

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