プロダクト・ライフ・サイクル(読み)ぷろだくとらいふさいくる(英語表記)product life cycle

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

プロダクト・ライフ・サイクル
ぷろだくとらいふさいくる
product life cycle

製品ライフ・サイクル、略してPLCともいう。製品が開発されて市場に導入され、普及成長し、成熟し、やがて別の製品に押されて衰退するという一連の経過を、売上高推移でとらえたものをいう。経過のくぎり方には種々の説があるが、もっとも有力なものは、導入・成長・成熟・衰退の四期とする説である。

(1)導入期 製品の売上げは伸びず、コストは高く損失の状態にある。

(2)成長期 製品が市場に普及し、売上げは急速に伸長する。企業間の競争は激化するので、量産によりコストは低下しているにもかかわらず、それほど利益はあがらず、競争力の弱い企業は脱落する。

(3)成熟期 需要が飽和状態となり、買い替え(耐久財)や反復購入(非耐久財)が主体となる。しかし、この段階まで生き残った企業には、大きな利益が生じる。

(4)衰退期 代替品の出現や環境変化によって需要は衰退し、売上げは下向する。利益もなくなり、やがて生産は中止される。

 製品ライフ・サイクルの存在は、製品構成(プロダクトミックス)に重要な影響を与える。企業は成熟期にある製品が生み出す収益を、新製品開発に投入し、次期の成長・成熟製品を次々に生み出さなければならない。

[森本三男]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

プロダクト・ライフサイクル
product lifecycle

製品の売り上げの時間的推移をいくつかの段階に区切って理解しようとする分析枠組み。そうすることによって,それぞれの段階ごとにマーケティング戦略収益性という面で,どのような機会があり,どのような面で問題があるのかが明確になってくる。普通はS字型曲線を描き,4つの段階に分けられる。 (1) 導入期:製品が市場に導入されたばかりで,売上高の伸びが緩慢かつ利益もほとんどない。 (2) 成長期:売り上げが急速に伸びだし,利益面でも大きな改善が見られる時期。 (3) 成熟期:売り上げの伸びが鈍化し始め,利益がピークに達する時期。 (4) 衰退期:売り上げが低下し,利益も落ち込む時期。各段階の期間は,普通は売上高の増減率で決められる。

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