日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベヌア」の意味・わかりやすい解説
ベヌア
べぬあ
Александр Николаевич Бенуа/Aleksandr Nikolaevich Benua
(1870―1960)
ロシアの画家、舞台装置家。宮廷付建築家の息子としてペテルブルグに生まれ、美術アカデミーのレーピン教室で学んだ。家庭環境のため、好んで描いた主題は宮廷の豪華さであり、しかもそれを失われた美的世界としてとらえた。挿絵画家としてもプーシキンの『青銅の騎士』『スペードの女王』など優れた作品がある。舞台装置家としてはストラビンスキーのバレエ『ペトルーシュカ』(ボリショイ劇場)、モリエール『気で病む男』、プーシキン『石の客』(以上モスクワ芸術座)など。1926年パリに亡命。絵画の代表作に『ルイ14世の散歩』(1897)、『パーベル1世時代の閲兵式』(1907、いずれもモスクワ、トレチャコフ美術館)がある。
[木村 浩]