日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベレサーエフ」の意味・わかりやすい解説
ベレサーエフ
べれさーえふ
Викентий Викентьевич Вересаев/Vikentiy Vikent'evich Veresaev
(1867―1945)
ロシアの小説家。本名スミドービチСмидович/Smidovich。医者の家に生まれ、ペテルブルグ大学文学部卒業後、デルプト大学に進み、医者となる。ペテルブルグで病院勤務のかたわら作家活動を開始。世紀の境目のインテリの内面を描いた中編『道なくして』(1895)、『転機』(1902)などを経て、体験に根ざした『医師の記録』(1901)によって文名を確立した。1900年代には文学サークル「水曜会」に入り、ゴーリキーの文集「ズナーニエ」に参画、また日露戦争に参加して従軍記も書いている。ほかにプーシキン、ゴーゴリに関する精密な伝記的研究が有名。
[島田 陽]
『袋一平訳『医者の告白』(三一新書)』