ペガスス座(読み)ペガススザ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペガスス座」の意味・わかりやすい解説

ペガスス座
ぺがすすざ

秋の宵にほとんど頭上やや南寄りのあたりに見える星座。4個の星が描く大きな四辺形は「ペガススの四辺形」または「秋の四角形」などとよばれ、とくによく目だつが、このうち北東の角の星はアンドロメダ座に属するものである。ギリシア神話では、勇者ペルセウスが女怪メドゥサを退治したとき、その首から飛び散った血の中から生まれ出た翼のある天馬(ペガソス)とされている。日本ではペガススの四辺形を「桝形星(ますがたぼし)」とよび、アンドロメダ座のα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4個の星を四辺形に結び付け、全体を大きな柄杓(ひしゃく)に見立てている地方もある。小望遠鏡での見ものとしては、ペガススの鼻先にある球状星団M15が見逃せない。

[藤井 旭]

『林完次著『星座「秋」』(1987・保育社)』『瀬川昌男著『秋の星と星座』(1997・小峰書店)』『えびなみつる著『はじめての星座案内――見ながら楽しむ星空の物語』(2001・誠文堂新光社)』『藤井旭著『星座大全――秋の星座』(2003・作品社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「ペガスス座」の意味・わかりやすい解説

ペガスス座 (ペガススざ)
Pegasus

略号はPeg。秋空に天上高くのぼりつめる北天の大星座である。ペガススはギリシア神話にあらわれる翼をもち天空をとぶ馬(ペガソスPēgasosのラテン語よみ)のことである。この星座のα,β,γの3星と隣接するアンドロメダ座αとがつくる長方形を〈ペガススの四辺形〉と呼び天馬の胴体に相当する。α星マルカブ(のりもの)は,光度2.4等,スペクトル型B9,β星スケアト(上膊部)は光度2.4等,スペクトル型M2,γ星アルゲニブ(わきばら)は光度2.8等,スペクトル型B2で周期6.8307日の分光連星であり,その成分星の一つは短周期変光星(βCMa型,変光幅2.80~2.87等,周期0.1517日)である。人工衛星コペルニクスの観測により,この星のスペクトルに強い水素輝線(ライマン・アルファ)が紫外領域に発見された。この星座にあるNGC7331はSb型の腕のよく発達した渦巻銀河で,明るさは9.7等,視線方向に対してかなり傾いているので細長い楕円状に見えるが,その両端部分の視線速度が測定しやすいので,リンドブラードBertil Lindblad(1895-1965)らによる銀河の回転の研究の好対象になっている。またM15(NGC7178)は密集した美しい球状星団で,明るさは6等である。さらにこの星座には,2組の銀河団があり,一つは距離2億光年,他は10億光年以上と推定される。概略位置は赤経22h30m,赤緯+17°。午後8時の南中は10月下旬である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペガスス座」の意味・わかりやすい解説

ペガスス座
ペガススざ
Pegasus

10月の宵に南中する北天の星座。概略位置は赤経 22時 30分,赤緯 17°。α星 (マルカブ ) ,β星 (シェーアト) ,γ星 (アルゲニブ) およびアンドロメダ座α星の4星でみごとな大方形をつくっている。

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百科事典マイペディア 「ペガスス座」の意味・わかりやすい解説

ペガスス座【ペガススざ】

10月下旬,天頂近くに見える大星座。この星座のα,β,γ星とアンドロメダ座のα星の描く大四辺形(ペガススの四辺形)が特徴。ペガソスにちなむ。
→関連項目ペガソス

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世界大百科事典(旧版)内のペガスス座の言及

【ペガソス】より

…ギリシア神話の有翼の天馬。英雄ペルセウスに殺された女怪メドゥーサの血から生まれた。のち英雄ベレロフォンの持ち馬となり,怪獣キマイラ退治,女族アマゾンとの戦いに際して主人を助けたが,ベレロフォンが天に上ろうと試みたとき,ペガソスは彼を投げ落とし,みずからはそのまま飛翔をつづけて天の星になったという。詩人の霊泉として有名なボイオティア地方のヘリコン山のヒッポクレネHippokrēnēの泉は,ペガソスが大地を蹴って湧出させた多くの名泉のひとつと伝えられる。…

※「ペガスス座」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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