ペチジン

化学辞典 第2版 「ペチジン」の解説

ペチジン
ペチジン
pethidine

1-methyl-4-phenyl-4-piperidinecarboxylic acid ethyl ester.C15H21NO2(247.35).メペリジンともいう.ベンジルシアニドとN,N-ビス(2-クロロエチル)-N-メチルアミンから合成される.融点30 ℃,沸点155 ℃(666 Pa).偶然に発見された最初の合成麻薬である.おもに塩酸塩として使用される.塩酸塩は,融点187~189 ℃.水に易溶,エタノールに可溶,エーテルに不溶.モルヒネに似た鎮痛,鎮静作用を有し,より即効性であるが,効力は約1/10.かなり習慣性があり,慢性中毒によって大きな健康障害を起こす.アトロピン様の副交感神経作用とパパベリン様の鎮痙(けい)作用がある.LD50 170 mg/kg(ラット経口).[CAS 57-42-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペチジン」の意味・わかりやすい解説

ペチジン
pethidine

オピスタン,メペリジン,デメロールともいう。合成麻薬。鎮痛,鎮痙剤として使われる。モルヒネに似た鎮痛,鎮静作用のほかに副交感神経抑制作用,鎮痙作用を示すが,麻酔,鎮咳作用はほとんどない。おもに胃腸胆嚢胆管,尿管などの疼痛,骨折,関節痛などの疼痛,内視鏡検査や臨床検査時の疼痛緩和に用いられる。副作用としてはめまい,悪心,嘔吐口渇失神,恍惚感などがあり,大量では呼吸中枢抑制により死亡することもある。依存性があり,モルヒネより弱いが耐性,禁断症状も出現する。

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世界大百科事典(旧版)内のペチジンの言及

【鎮痛薬】より

…作用部位とその作用の特徴によって,麻薬性鎮痛薬と解熱性鎮痛薬に大別される。
[麻薬性鎮痛薬]
 天然のアヘン製剤をはじめ,その主成分アルカロイドであるモルヒネコデインと,モルヒネの化学構造の一部を変えた半合成品のエチルモルヒネ,オキシコドン,ジヒドロコデイン,さらに合成麻薬のペチジン,メサドンなどが含まれる。合成麻薬の化学構造も,基本的にはモルヒネの構造に由来したものが多い。…

【麻薬】より

…薬理学的には,アヘン総アルカロイドと,これから分離して得られるモルヒネコデイン,これらの半合成体(ヘロイン,オキシコドンなど),およびモルヒネ類似の薬理作用と依存性を有する合成薬物(ペチジンなど)をさす。英語はギリシア語のnarkē(麻酔,麻痺)に由来し,これらの薬物を摂取すると,意識が混濁したり,感覚が麻痺状態になることから,麻酔様状態を起こす薬物の意でつけられた。…

※「ペチジン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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