日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボルドーワイン」の意味・わかりやすい解説
ボルドーワイン
ぼるどーわいん
vin Bordeaux フランス語
フランスのジロンド県、ボルドー市を中心にした地方でつくられるワインの総称。ボルドーのワイン生産地で、とくに有名なのはメドック、グラーブ、ソーテルヌ、サンテミリオン、ポムロールの五大地区である。これらの地区の下にいくつかの村(コミューン)がある。たとえばメドック地域の中にはマルゴー、ポーイヤック、サンテステーフなどの有名なコミューンがあり、この中にブドウ園(シャトー)があり、そこでワインがつくられる。
[原 昌道]
種類
ボルドーで栽培されるおもなブドウ品種は、赤のカベルネ・ソービニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、白のソービニヨン・ブラン、セミヨンである。ボルドーの赤いワインは別名クラレットとよばれ、色は鮮紅色、香味軽快で、その名は世界に知れわたっている。最高級に格づけされた赤ワインには、メドックでは「メドックのプリンス」と異名のあるシャトー・ラフィット・ロートシルト、「メドックの女王」といわれるシャトー・マルゴー、ラトゥールの塔の上に獅子(しし)をいただくシンボルマークで知られるシャトー・ラトゥールがある。グラーブ地域では「グラーブの王様」といわれるシャトー・オー・ブリオンが、サンテミリオン地域では、「詩人の酒」とよばれるシャトー・オーゾンヌや、白馬を意味するシャトー・シュバル・ブランがある。また、ポムロール地域ではシャトー・ペトリュスが有名である。
ボルドー地方ではまた優秀な白ワインをグラーブ、ソーテルヌ地域で産する。そのなかでも甘口白ワインの最高峰といわれるソーテルヌのシャトー・ディケムが有名である。
なお優秀なボルドーワインのラベルには、フランス政府が保証している原産地統制呼称と、シャトー元詰めの表示が記載されている。
[原 昌道]
『ターンブル・ジェームス著『ボルドーワインベストセレクション』(1999・小学館)』▽『山本博著『ワインの女王――ボルドー・ワインのすべて』(1990・早川書房)』