コリツォフ(その他表記)Kol'tsov, Aleksei Vasil'evich

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コリツォフ」の意味・わかりやすい解説

コリツォフ
Kol'tsov, Aleksei Vasil'evich

[生]1809.10.15. ボロネジ
[没]1842.11.10. ボロネジ
ロシアの詩人。家畜商人の子として生れ,学校で学んだのは1年半足らずで,もっぱら仕事の合間に独学し,詩作した。 16歳のとき詩を書きはじめ,その後知遇を得た N.スタンケビッチ V.ベリンスキー尽力で 1835年それまでの作品のなかから 18編をまとめて最初の『詩集』 Stikhotvoreniya Kol'tsovaを刊行。方言民謡を取入れ,貧民の苦しい生活や激しい労働を,素朴に,哀愁をこめてうたいあげ,ロシア文学に新しいテーマと民衆形象を持込んだ。代表作は『農夫の歌』 Pesnya pakharya (1835) ,『収穫』 Urozhai (35) ,『草刈り人』 Kosar' (36) ,A.プーシキンに捧げた『森』 Les (38) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コリツォフ」の意味・わかりやすい解説

コリツォフ(Mihail Efimovich Kol'tsov)
こりつぉふ
Михаил Ефимович Кольцов/Mihail Efimovich Kol'tsov
(1898―1942)

ソ連のルポルタージュ作家。学生時代から革命戦に参加、『プラウダ』紙を舞台に、ホルティ政権下のハンガリードイツ監獄、白衛軍本部などに潜入して取材活動を行い、新しいタイプのルポ・ライターとして知られた。スペイン内戦従軍、『スペイン日記』(1938)は国際的に有名。1938年に「人民の敵」として逮捕、死後1956年に名誉を回復

江川 卓]


コリツォフ(Aleksey Vasil'evich Kol'tsov)
こりつぉふ
Алексей Васильевич Кольцов/Aleksey Vasil'evich Kol'tsov
(1809―1842)

ロシアの詩人。ボロネジの家畜商の家に生まれ、家業のかたわら詩作に親しんだ。民謡の手法を自由に駆使し、農村の風俗や農民の労働といった大胆なテーマを初めてロシア詩に導入し、ベリンスキー、スタンケービチ、プーシキンらの励ましと高い評価を得た。初期の宗教的神秘性の色濃い作風は苦(にが)い現実認識を経てリアルに変貌(へんぼう)を遂げるが、救いは勤労の喜びにみる態度は一貫した。代表作はプーシキンの死を悼んだ『森』(1837)。『友よ、ざわめくでない』(1834)、『草刈り人』(1836)、『ある村人物思い』(1837)などの叙情詩も民衆の感情を汲(く)んであまりある。

[島田 陽]

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