マイリンク(その他表記)Gustav Meyrink

改訂新版 世界大百科事典 「マイリンク」の意味・わかりやすい解説

マイリンク
Gustav Meyrink
生没年:1868-1932

オーストリア作家プロテスタントから仏教改宗オカルティズム錬金術関心を抱き,長年暮らした古都プラハの神秘的な雰囲気の中から,小説《ゴーレム》(1915),《緑の顔》(1916)など,幻想的な怪奇文学を生み出した。グロテスクで荒唐無稽な空想の中には,転換期における市民社会や官僚世界の物質主義合理主義俗物に対する挑戦的な風刺が見いだされる。E.T.A.ホフマンやE.A.ポーの影響が著しい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイリンク」の意味・わかりやすい解説

マイリンク
まいりんく
Gustav Meyrink
(1868―1932)

オーストリアの小説家。本名G・マイヤーウィーンで生まれたが、作家としての活躍の舞台は学生時代を過ごした街プラハであった。初め銀行をおこすが失敗し、生来厭世(えんせい)的気質が高じて、現実に背を向けオカルトの世界に深くかかわり、『ゴーレム』(1915)など幻想的作品を多く発表して、第一次世界大戦後の幻想小説流行の先鞭(せんべん)をつけた。シュトローブル、カフカらプラハ文壇出身の作家に影響を与えている。

[村山雅人]

『今村孝訳『ゴーレム』(1973・河出書房新社)』『G・マイリンク他著、前川道介訳編『現代ドイツ幻想短篇集』(1976・国書刊行会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マイリンク」の意味・わかりやすい解説

マイリンク
Meyrink, Gustav

[生]1868
[没]1932
オーストリアの小説家。本名 Meyer。ユダヤ人女優の私生児として生れる。銀行員を経て作家となり,『ジンプリチシムス』誌の編集にも加わる。怪奇小説作家として有名。主著『ゴーレム』 Der Golem (1915) ,『ワルプルギスの前夜』 Walpurgisnacht (17) 。

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