不整地の走行に適した自転車、およびそれを使用する競技の総称。略称MTB。オールテラインバイクall terrain bike(ATB、全地形対応型自転車)ともよばれる。林道や段差のある所などを走ることを前提にしているため、タイヤが太く、フレームの剛性を高めた頑丈なつくりとなっており、衝撃を吸収するためのサスペンション、強力なブレーキ、走路の路面や傾斜に細かく対応する段数の多い変速機などが装備されている。走る場所や乗り方によって自転車のつくりや装備の異なる種類があり、それがそのままマウンテンバイクを使用した競技形態の違いともなっている。(1)アップダウンのある山道を長距離走行するクロスカントリー(略称XC)、(2)山道や斜面を高速で下り降りるダウンヒル(DH)、(3)コース上の障害物を地面に足をつけずに乗り越えながら走るバイクトライアル(TR、別称オブザーブドトライアルobserved trial)、(4)ジャンプ台などを使い、ジャンプスタントを行うダートジャンプ(DJ)、などがおもな種類で、山道全般に対応するものはオールマウンテン(AM)とよばれている。1996年に行われたオリンピック・アトランタ大会(アメリカ)からマウンテンバイクのクロスカントリー競技が正式種目として採用された。
マウンテンバイク競技は、1970年代後半にアメリカのカリフォルニア州で、ヒッピーたちがビーチクルーザーなどの自転車を野山で走らせ、競争したことから始まった。当時、自転車ロードレースの選手だったG・フィッシャーGary Fisher(1950― )らは、強度不足の車体を改良し、変速機などを装備した自転車を製作、販売するようになり、1980年代初頭にはアメリカ全土へと広がった。日本では1980年代に入ると、アウトドア雑誌による紹介がきっかけとなって人気をよび、1987年(昭和62)に日本マウンテンバイク協会(JMA:Japan Mountain Bike Association)が設立された。翌1988年から全日本選手権が開催されている。
[編集部]
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(松倉一夫 アウトドアライター / 2007年)
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