マクファーソン(読み)まくふぁーそん(英語表記)James Macpherson

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マクファーソン」の意味・わかりやすい解説

マクファーソン
まくふぁーそん
James Macpherson
(1736―1796)

イギリス詩人スコットランド農家に生まれ、エジンバラ大学卒業後、教職につく。3世紀ケルト人の勇者で吟唱詩人のオシアンが残した英雄叙事詩を自らゲール語から英訳したと称して、1765年に集成出版した二巻の『オシアン作品集』で一躍名声を博した。しかし、その真偽について異論が多く、彼の創作説も有力であるが、その内容の醸すロマン的情調は、イギリスをはじめヨーロッパ各国のロマン派詩人たちに大きな影響を与えた。

[上田和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マクファーソン」の意味・わかりやすい解説

マクファーソン
Macpherson, James

[生]1736.10.27. インバネス,ラスベン
[没]1796.2.17. ベルビル
イギリスの詩人。スコットランド高地地方で収集したゲール語,エルス語の詩を翻訳した『古代詩歌断片』 Fragments of Ancient Poetry (1760) で認められ,続いて3世紀のゲール語の詩人オシアンを翻訳して,『フィンガル』 Fingal (62) ,『テモラ』 Temora (63) を発表,当時の中世趣味に投じてイギリスのみならずヨーロッパでも称賛を博し,続くロマン主義の時代に大きな影響を与えた。その後の研究によって,彼がきわめて自由にオシアンの原詩を編集したこと,彼自身の創作した章句を挿入したことが明らかにされている。

マクファーソン
Macpherson,Crawford Brough

[生]1911.11. トロント
[没]1987.7.21
カナダの政治学者。トロント大学教授,カナダ政治学会会長などを歴任。政治思想史から現代民主主義論まで幅広い領域で活躍。英米の政治学を背景に,マルクス主義の影響もみられる独自の学風で知られる。主著『所有的個人主義の政治理論』 The Political Theory of Possessive Individualism:Hobbes to Locke (1962) ,『自由民主主義は生残れるか』 The Life and Times of Liberal Democracy (1977) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android