マジェランアイナメ(読み)まじぇらんあいなめ(その他表記)Chilean seabass

デジタル大辞泉 「マジェランアイナメ」の意味・読み・例文・類語

マジェラン‐アイナメ

《マゼランアイナメとも》南極周辺の深海に生息する大型の魚。スズキ目ノトテニア科に分類される。市場ではメロという名で流通。脂の多い白身魚で、照り焼き煮付けなどにする。かつては「銀ムツ」と呼ばれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マジェランアイナメ」の意味・わかりやすい解説

マジェランアイナメ
まじぇらんあいなめ
Chilean seabass
[学] Dissostichus eleginoides

硬骨魚綱スズキ目ノトセニア科Nototheniidaeの海水魚。チリ、アルゼンチンマゼラン海峡フォークランド諸島などに分布する。オオクチともいう。和名にアイナメとあるが、その仲間ではなく、南半球にすむノトセニア科の魚。体は延長し、少し側扁(そくへん)する。口は大きく、上顎(がく)の後端は目の中央下に達し、下顎は上顎よりも前方に突出する。上顎歯は2列で、外列歯は内列歯より大きい。下顎歯は1列で大きくてまばらに並ぶ。吻(ふん)部を除く全身は小さい円鱗(りん)で覆われる。側線は2列で、上列は体の背縁に沿って直走し、下列は体の後半部中央を尾びれ基底まで走る。第1背びれは小さく、第2背びれと臀(しり)びれの基底は長い。腹びれ胸びれよりも前に位置する。体は背面では濃褐色、腹面では淡褐色。腹びれと臀びれは黄褐色。4000メートル以浅の陸棚斜面から陸棚までの広い水深域にすむ。おもに魚類、頭足類を食べる。全長1メートルを超える大型魚で、全長2メートル38センチメートル、体重130キログラムの記録がある。50年ほど生きると推定されている。日本に輸入され、メロの商品名で流通している。ギンムツ、クエ名前が使われたこともあるが、これらは法律で禁止された。白身で脂(あぶら)が多く、照焼き焼魚煮つけ、みりん漬けなどの惣菜魚や、フランス料理などに利用されている。

[尼岡邦夫]

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