マメザヤタケ(読み)まめざやたけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マメザヤタケ」の意味・わかりやすい解説

マメザヤタケ
まめざやたけ / 豆莢茸
[学] Xylaria polymorpha (St. Amans) Grev.

子嚢(しのう)菌類、タマカビ目クロサイワイタケ科のキノコ。土になかば埋まった枯れ木の上に生え、すりこぎ形、逆とっくり形などをしている。高さ3~10センチメートル、上半部の太さは1センチメートル内外。全体は木炭のように硬くて黒く、表面には点状のつぶつぶが密に生える。切断すると内部は白くて空洞、薄い殻の中にはケシ粒ほどのとっくり形の小室が一列に並んでいる。これを子嚢殻といい、中に子嚢があり、無数の子嚢胞子がつくられる。キノコの表面の点々は子嚢殻の開口部で、この小穴から真っ黒な胞子が出される。胞子は紡錘形で、大きさは23~35マイクロメートル×8~9マイクロメートル。同じ属には多くの種があるが、いずれも黒く、炭質である。マメザヤタケは広葉樹腐朽菌リグニン分解菌)であるため、腐朽材は白く、黒い雲形の線模様をつくる。分布は日本をはじめ、世界各地と広い。

[今関六也]


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改訂新版 世界大百科事典 「マメザヤタケ」の意味・わかりやすい解説

マメザヤタケ
Xylaria polymorpha (St.Amans) Grev.

子囊菌類の核菌類タマカビ目クロサイワイタケ科のキノコ。広葉樹の枯木立木の根もと近くに多数発生する。学名ラテン語で,xylariaは〈木質の〉,polymorphaは〈いろいろな形の〉の意味で,名のとおり形の変化が多い。高さ3~7cm程度,全体が黒い炭質で,すりこぎ形から棒状,頭状をして硬い。子実体の内部は中空で白く,頭部の黒い部分に無数の胞子形成器官(子囊殻)が埋まって形成され,表面に微細な点状の口部があいている。子実体は多数集まって形成されることが多く,見つけやすい。立木につく場合は根や幹の心材や辺材をくさらせ,風で木が倒される原因ともなる。分布は世界的で,日本各地でみることができる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マメザヤタケ」の意味・わかりやすい解説

マメザヤタケ(豆莢茸)
マメザヤタケ
Xylaria polymorpha

子嚢菌類核菌類マメザヤタケ目クロサイワイタケ科。広葉樹の枯れ木の根ぎわに群生する。ときとして生木につくこともあるが心材が必ずおかされている。材の腐朽菌の1種である。子実体はとくりをさかさまにした形,すりこぎの形など不定形で,非常に硬く,黒色である。まれに柄部がふたまたに割れることもある。子実体の内部には空洞があり,また白色の組織もあるが,表層の黒い組織内に多数の子嚢殻を生じ,その孔口は子実層の表面に並んで開いている。胞子は黒褐色で成熟すると,この孔口から空気中に放出される。世界的に分布し,日本でも各地方の山地でごく普通にみられる。

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