マルティンソン
Harry Edmund Martinson
生没年:1904-78
スウェーデンの詩人,作家。6歳で父に死別し,母はアメリカへ移住,天涯孤独の身となる。16歳で海員生活に入り,詩集《幽霊船》(1929)で文壇に登場,〈5人の若者Fem unga〉のグループに属し《放浪者》(1931)などの詩集,《あてのない旅》(1932),《さよなら岬》(1933)などの紀行文,自伝的小説《イラクサの花咲く》(1935),放浪小説《クロックリーケへの道》(1948)などを著し,第2次大戦後は《蟬》(1953)以下《草の山》(1973)に至る五つの詩集を刊行した。彼の名を後世にとどめると思われるのは長詩《アニャーラ》(1956)である。放射能に汚染された地球を脱出する人々に託して人類の未来を,該博な知識,豊かな造語力を駆使して描くこの作品はオペラ化もされた。1949年プロレタリア階層出身者として初のアカデミー会員となり,74年ノーベル文学賞を受賞。
執筆者:田中 三千夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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マルティンソン
まるてぃんそん
Harry Edmund Martinson
(1904―1978)
スウェーデンの詩人、作家。6歳で父に死別、母に捨てられ、16歳で海員生活に入る。詩集『幽霊船』(1929)、『放浪者』(1931)、『自然』(1934)で詩人の地位を確立。若い詩人のグループ「五人の若者」の1人。散文では、『あてのない旅』(1932)、『さよなら岬』(1933)などの紀行文、自伝小説『いらくさの花咲く』(1935)、自然観照のエッセイ『すずめ蛾(が)とかとんぼ』(1937)、『仲夏の谷』(1938)など。放浪小説『クロックリーケへの道』(1948)は中国の道教に共感する作家の人生哲学を展開する。第二次世界大戦中はソビエト・フィンランド戦争を扱う『真実は死んだ』(1940)を発表。戦後は『蝉(せみ)』(1953)以下『草の山』(1973)に至る五つの詩集を出版。彼の名を後世に伝えるのは長詩『アニャーラ』(1956)で、放射能汚染の地球脱出を図る人々に託して人類の未来を、該博な知識を駆使して描き、オペラ化された。1949年プロレタリア出身者として初のアカデミー会員に選ばれ、74年ノーベル文学賞を受賞。
[田中三千夫]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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マルティンソン
Martinson, Harry Edmund
[生]1904.5.6. ブリーキンゲ,イェムスベク
[没]1978.2.11. ストックホルム
スウェーデンの詩人,小説家。6歳のとき父に死別,母に捨てられ,16歳まで教区の農家を転々として育った。のち船員となってその体験を主題に作家生活に入り,1949年プロレタリア作家として初めてスウェーデン・アカデミー会員に選ばれた。 74年ノーベル文学賞受賞。詩集『さすらい人』 Nomad (1931) ,『貿易風』 Passad (45) ,宇宙船の旅を扱った長詩『アニアラ』 Aniara (56) ,紀行『別れの岬』 Kap Farväl (33) ,自伝『いらくさの花』 Nässlorna blomma (35) ,『道は尽きた』 Vägen ut (36) などがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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「マルティンソン」の意味・わかりやすい解説
マルティンソン
スウェーデンの作家。自伝小説《いらくさの花咲く》,放浪小説《クロックリーケへの道》,詩集《幽霊船》《蝉》,《アニャーラ》(1956年)等。1974年ノーベル文学賞受賞。かつて結婚したことのあるモア・マルティンソン〔1890-1964〕は《母親が結婚する》等で知られるプロレタリア女性作家。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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世界大百科事典(旧版)内のマルティンソンの言及
【スウェーデン】より
…[ヘイデンスタム]は病弱の身のために療養をかねて長く海外生活を送った後に祖国スウェーデンへ回帰したが,[ラーゲルクビスト]は早くからパリに遊び,みずから海外の新風に触れてそれを摂取しようとしたのであった。[ユーンソン],[マルティンソン]は次に述べるプロレタリア文学を代表する作家,詩人であるが,前者はいち早く郷里の寒村をすてて一個のヨーロッパ人となることを目ざして大陸へ渡り,後者は天涯孤独の身を船員生活にゆだねて世界をまわり,ヨーロッパばかりか南アメリカ,アジア,中国の文化にまで強い関心を示したのであった。 20世紀スウェーデン文学を特色づけるものにプロレタリア文学がある。…
※「マルティンソン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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