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幽霊船 ユウレイセン

デジタル大辞泉の解説

ゆうれい‐せん〔イウレイ‐〕【幽霊船】

乗組員すべてが死に絶え、その船上にとどまったまま怪奇な漂流を続けるという伝説上の船。

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世界大百科事典 第2版の解説

ゆうれいせん【幽霊船 ghost ship】

海上に出没する奇怪な船の総称で,〈さまよえるオランダ船〉のように神罰を受け永久に港へ帰れない船,悪霊に憑(つ)かれ出現と消滅を繰り返す船などを指す。大西洋上に現れるというフランスの幽霊船美しきロザリー号は,目撃者に災いをもたらすといわれて恐れられ,またアイルランドでは風上に向かって進む怪船の伝説がある。これらは古代エジプトや北欧でみられた葬送儀礼と船との強い結びつきに由来したり,日本の船霊(ふなだま)信仰のような古い習俗にかかわるものとも考えられるが,反面,蜃気楼や〈セント・エルモの火〉の見誤り,あるいは乗組員を失った漂流船との遭遇体験から派生する場合も多い。

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大辞林 第三版の解説

ゆうれいせん【幽霊船】

殺された人の魂が救われずに船中にとどまり、海上を漂い続けるといわれる船。 → さまよえるオランダ人じん

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

幽霊船
ゆうれいせん

殺された人の魂が救われないまま船中にとどまり、海上を漂流するという伝説上の船。1066年にイギリスのヘースティングズの戦いで敗死したイギリス新王ハロルドは、戦いの前に幽霊船の夢をみた。同じころ夜空にハリー彗星(すいせい)が飛んだ。ともに凶兆である。この戦いに勝ってイギリスにノルマン王朝を開いたウィリアム征服王の栄光を描いた「バイユー・タペストリー」という刺しゅう大絵巻(11世紀後半の制作)には、不安におののくハロルド新王の下の縁(ふち)には無人の幽霊船が、上の縁にはハリー彗星が刺しゅうされている。おそらく、幽霊船が描かれたものとしてはもっとも古い記録であろう。夢のなかの幽霊船は不吉のしるしとして強い実在感を与えたはずである。
 なんらかの原因で命を絶たれた乗組員の魂がとどまったまま漂流を続けるという幽霊船の伝説は、大船による遠隔地貿易が栄えだした中世後期から盛んになる。大船といえども海洋気象の変化や運行技術の未熟、組織的な海賊の暴力などによって乗組員の全員を失った無人船となる例はけっして少なくなかったはずである。航行する船舶から幽霊船とみなされた船の多くはこうした無人船だった。永遠にのろわれたオランダの船長が海上をさすらい続ける「さまよえるオランダ人」伝説も、本来は喜望峰に関する17世紀のものであった。幽霊船が普通の船と違う点は、風に逆らって帆走するとか、船の灯が海面に映らないというような不思議な現象を伴っていることである。ドイツの作家ハウフの作品『幽霊船』では、血まみれの死体が夜中に帆を張って騒ぎだし、夜明けとともにもとの死体に返る。そしてその幽霊船とすれ違った船は難破する。50年間も走り続けてきた幽霊船が、信仰の厚い人の祈りによって呪(のろ)いを解かれ、船中の死体が消え去ってしまうというものである。こうした幽霊船伝説はイスラム教国にもある。[飯塚信雄]

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世界大百科事典内の幽霊船の言及

【船幽霊】より

…海上で遭難した人の亡霊が幽霊船(幻の船)に乗って,漁師などこの世の人に働きかけるという霊異現象。死後に子孫にまつられず海上をさまよう死霊の信仰が根底にあって,危険な海で生活する者にこうした幻覚を起こさせたものと思われる。…

※「幽霊船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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