分譲マンションでの良好な居住環境を確保し、管理の適正化を進めるための規定を定めた法律。マンション居住人口の増加にあわせ、2000年(平成12)に成立、2001年に施行。正式名称は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(平成12年法律第149号)。所管は国土交通省。非木造で3階建て以上の分譲マンションを対象とする。この法律では、法務・会計などの専門知識をもつ国家資格「マンション管理士」を創設したほか、悪質な業者を排除するために管理組合から委託を受けたマンション管理業者の登録を義務化した(無登録業者には罰金刑)。マンション管理士は住民(区分所有者)や管理組合に対し、管理・運営、修繕、建替えなどについて指導・助言する役割を担っており、2021年(令和3)3月時点で登録者数は約2万6000人。上述の登録管理業者には、住民や管理組合に契約や管理事務報告を行う「管理業務主任者」(国家資格)の設置を義務づけた。また、公益財団法人マンション管理センターをマンション管理適正化推進センターに指定し、管理者講習や情報提供にあたる組織と位置づけた。
国土交通省の調査では、2020年末時点で分譲マンションは全国に約675万戸(居住者約1573万人)あり、このうち築40年超が約103万戸で、20年後にはほぼ4倍の約405万戸に増える。このため、マンション管理適正化法が当初想定した以上のマンションの長期使用と老朽化、住民の合意形成のむずかしさなどが問題となっていた。2020年の改正では、国はマンション管理の適正化を図るための基本的方針を策定。これに基づき、地方自治体が修繕計画や修繕・維持費の積立て状況をチェックしてお墨付きを与えるマンション管理計画認定制度を導入し、問題のあるマンションに対して指導・勧告できるようにした。また、従来の耐震性不足の場合に加え、外壁がはがれ落ちるおそれのある場合にも、住民の8割以上の賛成で敷地を売却できる制度も盛り込んだ。
[矢野 武 2022年2月18日]
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