ミズワラビ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミズワラビ」の意味・わかりやすい解説

ミズワラビ(水蕨)
ミズワラビ
Ceratopteris thalictroides; floating fern

ミズワラビ科の一年生の水生シダ植物。ミズシダ,ミズボウフウ,ミズニンジンともいう。旧大陸の熱帯から暖帯に広く分布する。水田,沼沢地に生える。根茎は短く斜上し少数鱗片をもつ。葉は環境により長さに変化があって5~50cmになり,無毛の革質で,胞子葉と栄養葉があり叢生する。栄養葉は胞子葉より短く,2~3回羽状に深裂し,裂片は幅広く羽片の分岐点にしばしば不定芽を生じる。葉脈は網状。夏から秋にかけて,細長い胞子葉を伸ばし,細い裂片の葉脈上に並んで多数の胞子嚢をつけ,両側の葉縁が反転してこれを包む。胞子嚢は大型,無柄で,中に 16または 32個の胞子を生じる。葉は食用となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミズワラビ」の意味・わかりやすい解説

ミズワラビ
みずわらび / 水蕨
[学] Ceratopteris thalictroides (L.) Brongn.

ミズワラビ科の一年生シダ。根茎は短く、わずかに鱗片(りんぺん)があり、柔らかい無毛の葉を束生する。葉には栄養葉と胞子葉の2型がある。栄養葉は胞子葉よりも小さく、網状脈をもち、2、3回羽状に深裂し、羽片基部に芽をつけることがある。胞子葉は50センチメートルになり、栄養葉よりもさらに細かく裂ける。裂片は角(つの)状で、辺縁内側へ折れて胞子嚢(のう)を生ずる。暖地に多く、水田や沼地に生える。淡水魚水槽に観賞用として利用されるが、東南アジアでは食用にもする。

[西田治文]


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