ミツバオウレン(読み)みつばおうれん(その他表記)goldthread

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミツバオウレン」の意味・わかりやすい解説

ミツバオウレン
みつばおうれん / 三葉黄蓮
goldthread
[学] Coptis trifolia (L.) Salisb.

キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の常緑多年草。地下茎は細く、長く地中をはう。茎は緑色で高さ約10センチメートル。葉は1回3出複葉で、長さ、幅ともに約2センチメートル、堅く光沢がある。小葉は粗い鋸歯(きょし)がある。6~8月、茎の先に径約1センチメートルの花を1個ずつ上向きに開く。花弁は純白色または黄色で小さい。果実は袋果(たいか)で、側面に脈がない。中部地方以北の本州、北海道の高山の湿った草原や亜高山の針葉樹林内に生え、ヨーロッパ、北アメリカなど、北半球の寒帯から亜寒帯に広く分布する。名は、オウレンの仲間で、葉が3出複葉であることによる。ミツバノバイカオウレンは本種によく似るが、茎が茶褐色で、果実の側面に脈があるので区別される。近縁種オウレンは薬用植物としてよく知られる。

[門田裕一 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミツバオウレン」の意味・わかりやすい解説

ミツバオウレン(三葉黄連)
ミツバオウレン
Coptis trifolia

キンポウゲ科の常緑多年草。北海道,本州 (中部以北) ,東アジア北部の亜寒帯,北アメリカに広く分布し,高山や針葉樹林下に生える。根茎オレンジ色の糸状で,細い根をひいて広がる。葉は長い柄をもって根生する3出複葉。小葉は長さ1~2cmの倒卵状菱形で,葉脈に沿って細毛が生える。6~8月,高さ5~10cmの花茎の先に径1~1.5cmの白色花を1個つける。花茎の上半部には小型の包葉 1~2片がつく。萼片5枚は白色で水平に開き花弁状,花弁5個は退化してさじ形となる。おしべは多数あり,花柱鉤形。袋果は有柄で放射状に並ぶ。

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世界大百科事典(旧版)内のミツバオウレンの言及

【オウレン(黄蓮∥黄連)】より

… オウレン属Coptisには15種があり,東アジアと北アメリカ西部に分布する。日本にはほかに葉が掌状に5裂し,花弁状の5萼片が発達し目立つバイカオウレン,ミツバオウレンなど5種があり,山草として栽培されたり,薬用に利用されたりする。【田村 道夫】
[薬用]
 根茎を黄連という。…

※「ミツバオウレン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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